不惑オヤジ(と娘)の将棋な日々

アラフォー親父と小学生娘の悪戦苦闘の記録

「上達を実感する」ということ

将棋に取り組んでいると誰もが、なかなか、上達しない、どうすれば上達できるのか、という壁にぶち当たる。

これは別に将棋に限らず、競技に取り組んでいると、誰もが一度は必ず突き当たる壁だろう。壁に突き当たったとき、その壁を突き破る有力な原動力は、「上達を実感できること」ではないだろうか。昨日の自分よりも今日の自分が少しでも進歩していることを何らかの形で実感できれば、それを積み重ねることで、いずれ目の前の壁を突き破る自分の姿を想像しやすく、その時へ向かって頑張ることができるのだと思う。

なので、一般的な勉強法のノウハウなんかを見ると、だいたい「上達の可視化」という概念が登場する。上達度合いが目に見えて解るようにすることで、上達が実感できて、モチベーションが維持、上昇する。そしてさらなる上達に繋がる好循環を生むというわけだ。

ところが、困ったことに将棋というゲームはこの「上達の可視化」が非常に難しい。解りやすいのは、実際の対局成績であったり、ネット将棋でのレーティングの上昇だろう。だが、これらは大きく実力が伸びてないと、目に見えた変化が起こらないものだ。なので、これらを目標にしてしまうと、いくら頑張って取り組んでもなかなか進歩が見えず、負けが続くと無能感に苛まれ、やがて心折れてしまう。そんな経験を実際に筆者もした。

「上達の可視化」は、僅かな進歩の積み重ねを実感できることが大事なのだ。これを勉強法の世界では「スモールステップ」と呼ぶのだが、将棋はこのスモールステップの課題設定も、その課題をクリアできているかの評価も非常に難しいのだ。

筆者は最近、Nintendo SWITCHの「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」(以下、「スマブラ」)という対戦格闘ゲームに少しハマっている。元々、娘達に付き合って始めたもので、実力はまだヘボヘボのヘボだ。オンライン対戦では底辺中の底辺層を這いずり回っている。娘達の実力も似たようなものなので、家ではなかなか熱い攻防が繰り広げられてはいるのだが。

なんで突然「スマブラ」の話を持ち出したか。それは、「スマブラ」はスモールステップの課題設定が将棋に比べると遙かにやりやすいということに気づいたからだ。

もちろん、底辺中の底辺層である筆者はオンラインでは負けることの方が圧倒的に多い。正確に数字を取っているわけではないが、だいたい7:3、下手したら8:2くらいの割合で負けているかもしれない。勝ち星はなかなか増えていない。だが、それでも筆者は着実な進歩を感じられている。それは、スモールステップで筆者が進歩しているのがちゃんと見えるからだ。

「以前よりも崖外からの復帰の確実性が増した」「小ジャンプが安定して出せるようになった」「復帰阻止の成功率が上がった」など、勝敗とは無関係に、進歩が比較的解りやすく評価できる。戦績を上げるためにに必要となるスキルは割と明確かつ細分化されていて、それらを一つ一つ課題として、クリアしていけば良い。課題がクリアできているかどうかの評価も比較的容易だ。

それに気づく前は、スマブラでもオンラインで負けが込むと苛々が募ったものだが、最近は負けても意に介さなくなった。自分が前より少しでも成長しているかどうかが勝ち負けよりも重要で、そのための取り組みを決めるのも、成果を測ることも比較的容易だからだ。最近はできることも色々増えてきて、スマブラが楽しくなってきている。戦績は相変わらず底辺を這いずり回っているのだが。

さて、それに比べて将棋はどうだろうか。詰将棋が解けるようになること、手筋を身につけることなど、スモールステップの課題設定はそれほど難しくはないのかも知れないが、課題がクリアできているかの評価となると、これが格段に難しくなる。詰将棋を解いたって、そのままの形が実戦に出るわけではない。手筋を学んでも、それを使う機会が実戦に現れる頻度はそう多くない。定跡を学んでも、その通りに実戦が進むわけではない。

課題を設定して一生懸命頑張っても、課題がクリアできたかどうかいつまで経ってもわからない。そして成績もレーティングもなかなか上がってこない。新しいことをやろうとするとむしろ戦績は落ちることもある。改めて考えると、これで心折れない方がむしろ不思議だと思う。将棋クラスタはもしかしてとんでもないマゾヒストの集まりなのではなかろうか。

スモールステップの課題設定と、その評価。この汎用の上達メソッドに将棋を当てはめるなら、評価の部分が鍵になってくるのだが、これまで「これは」と思うような方法に巡り会ったことはない。ここを確立することができれば、将棋訓練・指導の世界に革命が起きるんじゃなかろうか、とすら思ったりする今日この頃であった。

[自戦譜]のりたま名人戦D級リーグ vs zonomiP – 早仕掛け郷田新手回避型

ちょっと興味深い形になったので、アウトプットを兼ねて久々に自戦譜を記事にしてみます。

先手が私(yamakaz2018)で、後手がzonomiPさん。

見ての通りの、四間飛車vs急戦早仕掛け。ここから丁度10手進んだ局面がこれ。

若干違いはあるものの、これは早仕掛けの有名な定跡局面。ここで▲5九飛とするのが昔の定跡で、それに対しては△1五歩のいわゆる「郷田新手」で、香を捨てて無理矢理入手した一歩を△6七歩と打ち込んで居飛車がよくなるとされていますね(この局面に限って言えば9筋の端歩が事前に突き捨てられているので、郷田新手を使うまでも無く△9五香とするのでしょう。△9五歩の突き捨て、対局中は意味わからず首をひねっていたのですが、この局面を見越したzonomiPさんの用意の筋だったのかも。1筋から突っかけるより安全ですからね)。それに対して何か対抗策は無いのかとソフトを使いつつ探っていたのですが、郷田新手を回避しつつ、少なくとも評価値上は振り飛車が良くなる変化が見つかり、いずれ試したいと思っていました。

同様の変化は、後に杉本昌隆先生の本に書かれていたのを見付けたので、これも既知の定跡なのでしょう。ただ、杉本先生が「振り飛車良し」としている局面でも、私の目には振り飛車の次の指し手が見えづらく、どんな感じになるのかなぁとは思ってました。それを今回、zonomiPさん相手に投入してみたわけです。

で、本譜は図2から、▲7七同銀△同角成▲6二飛成△同銀▲8九飛△6五桂と進みます。

駒割りはこちらの3歩得、居飛車は歩切れで玉形もこちらのほうが固く、自陣飛車がイマイチ感あるとはいえ理屈の上では振り飛車が良さそうで、実際評価値も+400くらいです。しかし、ここから振り飛車がどう指すのかと言われると意外と思い当たらなかった。

本譜は結局▲6四桂と打ち、△6七馬▲5二桂成△同金▲8七飛と進みました。

▲6四桂には金をかわすくらいで△7二桂成としてもいまいち響きが薄く見え、正直感触は良くなかったです。本譜のようになると、金を剥がしてそこそこ満足の流れではありましたが。

で、調べてみると、図3の局面では▲3五歩が急所らしい。

無条件で▲3四歩と取り込めれば大きな利かしになります。自然なのは△3五同歩かと思いますが、その時はさらに△5五歩とこちらも突く。

直接的な狙いとしては、馬筋を止めておいて▲4五桂から▲3三歩などと攻める筋ですね。それを防ぐため△5五同馬なら、いったん▲5九飛と馬に当てつつ飛車を回る。隠居していた飛車と馬の交換はシャクなので△4四馬と堪えますが、そこで▲3三歩と焦点の叩き。

変化図Cから、△同玉なら▲4五銀と打ち、△6六馬▲5四飛で振り飛車優勢(変化図D)。

変化図Cから△同馬なら▲4五桂と打ち、△4四馬にもう一発▲3三歩(変化図E)。

変化図Cから△同桂なら▲3四歩(変化図F)。

変化図Fから△同馬なら、▲5四飛と捌いても、▲2六桂△4四馬▲3四歩のおかわり攻めでも先手が良さそうです。

なので変化図Aからは△4二金上▲3四歩と進んでどうかという感じですが、玉頭に嫌みをつけたので、どこかで▲4五桂などから攻めは続きそうです。

図3から▲3五歩の筋は覚えておくとしましょう。3筋は振り飛車にとっても急所になりうるところなので、なかなかここを突く発想には至れませんでしたが、居飛車にとっては振り飛車以上の急所なので、相対的に「あり得る手」なのでしょうね。

さて、本譜はと言うと、下図が敗着ポイントになって負けてしまいました。

△4八飛成が見えているので▲1八玉とできず、▲3九玉として、その後も悪手をやらかして崩壊してしまいました。

▲1八玉△4八飛成には▲1九玉と角を抜いておけば何も起こらず、先手勝勢でした。一手ばったりで勝ち筋の将棋を落としてしまう。受け切り目指す展開は本当に恐いですね…

以下、棋譜です。あ、ちなみに24の最高Rを更新して916になってます(^^)v

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サクサクサクセスと共にこの一年を振り返る

お久しぶりです。

本来はtwitterに書こうと思ったのですが、ことのほか長文になってしまったので、久々の現状報告がてら、約一年ぶりの投稿をすることにしました。

ここ三ヶ月ほど、のりたま将棋クラブのマホちゃん(本当は「さん」呼びすべきなんだけど、本人、こちらの方が喜びそうなので…w)による、クラブ内の級位者が有段者に三ヶ月の間師事してレートの上昇幅を競うという企画がありました。その名も「サクサクサクセス」。私は指導を受ける側として参加させてもらいました。時期的に仕事がハードモードに入ることが予想されることもあって、参加には迷いもありましたが、こんなチャンスはそうそう無いと思い切って決断。

「手筋や定跡より、強い人の考え方を知りたい」という願望は、実はかなり以前から持っていました。その性質上、独学で学ぶのはなかなか難しいものがあり、強い人に教わる機会を何らかの形で持ちたいとはずっと思ってました。なので、過去にはオンライン将棋教室なども何カ所か試したりしたのですが、どの講師も局面局面の悪手・好手の指摘に終始している感があり、私の求めるものとは微妙なズレを感じていました。そうなると1回2000円以上という出費に見合う感がなく、そのうちやめてしまいました。(これは私が講師にそのあたりの意図を明確に伝えられていなかったのも要因だと思いますし、当時の私はまだそのあたりを理解できるレベルに達していなかったという側面もあったかもしれません)

そのような過去もあったので、参加に当たっては期待半分、不安半分というのが正直なところでした。

私のコーチ役を勤めていただいたのは、ねんどさん。24では三段~四段くらいで指されている方です。今回サクサクサクセスにあたって、私なりに「強い人の考え方を知りたい」というあたりの意向は、ねんどさんには最初にお伝えしました。

将棋の大局観などは大概感覚的なもので、なかなか言語化するのは難しいものだと思います。そのあたりを取り扱っている棋書が少ないのも、私がこれまでのオンライン教室で満足が得られなかったのも、そのあたりの理由が大きいのだろうと思ってます。なので、我ながら無茶な注文をしたかもとの危惧は正直ありました。

しかしねんどさんは、その感覚的な部分を言語化して説明するのが抜群に上手でした。感覚よりも理屈で物事を理解する傾向のある私にも、すとんと腹落ち・納得する説明を毎回していただけました。仕事がハードな時期と重なったこともあって、VSが近づくと億劫になることも、正直言えばなかったわけではありませんが、それでも終わったときは毎回満足感と充実感に満たされていました。毎回毎回が新しい気づきの連続で、クラブの企画とは言え、無償で教えていただいているのが申し訳なくなるくらいでした。今でもVSの棋譜と感想戦のログは保存してあり、時折読み返しています。

おおよそ三ヶ月間教わっていたわけですが、それが何か目に見える結果に繋がったのかというと、正直微妙ではあります。期間中に24の最高レートを更新したものの、10点程度ですし、リアルでは将棋センターの中位リーグで優勝し三段に昇段しましたが、コロナ騒動で参加者が少なくなっていたドサクサ半分な部分があり、棋力向上の結果であると自信を持って言うことはできません。将棋クエストのレートはやや停滞気味ですし。

しかし、今回ねんどさんに教わったことの数々は、独学では決して得られなかったものであり、今すぐ結果にはつながらなかったとしても、どこかで必ず活きてくるものだと確信しています。今は、教わったことを意識しながら指すことに注力している感じですね。熱中するとやはりそのあたりが吹っ飛んでしまったりするので。

ちなみに最後のVSとなった昨日の対局は、相振り四間からの端攻めがクリティカルヒットして、快勝。最後に恩返しを果たして終わるという、ある意味きれいな結果に収まりました。

数ヶ月にわたり付き合ってくださったねんどさんと、今回の企画を立てていただいたマホちゃんには心より感謝申し上げます。これを、一番伝えたくて、久々に記事を書いたようなものですね。

一応、期限は今月末なので、それまでなるべく24のレート戦をこなし、少しは成果を見せたいところです。

さて、ここで終わっても良いのですが、せっかく一年ぶりの投稿なので、一年前との変化についても、書いておきましょうか。

24のレートで言うと、一年前はだいたい600~700くらいの間でうろうろしていました。今は750以上の領域でうろうろしており、最高レートは845。将棋ウォーズはあまりやらなくなってしまいましたが、将棋クエストでは1700台(黄色レート)で安定するようになり、最大瞬間風速で二段になりました(笑)。リアルでは、前述したとおり念願の三段昇段を果たしました。ドサクサ感はありますが、成績管理をしている五段格の先生に、最近は強くなっていると言っていただけているので、全く成長してないということは無いと思いたい。

こうしてみると、更新を停止する前は長いこと停滞を続けていましたが、この一年は少しは成長できたようです。

あ、ちなみに長女も11月付で9級になってます(笑)。長女は中学生となってイラストを描くことに熱中するようになり、そろそろ将棋は卒業かなと思ってたのですが、本人は辞める気はないらしい。家ではまったく将棋活動しないのは相変わらずですが、次女共々センター通いはまだ続いています。

さて、今回一年ぶりに投稿しましたが、更新停滞の理由となっている「将棋と無関係な新しい目標」への活動は続いているので、申し訳ありませんが更新ペースが戻ることは無いです。何か節目になるようなことがあれば更新するかも、という程度になると思います。

twitterの方では割と頻繁に呟いているので、良ければそちらをご覧いただければと思います。

[お知らせ]更新停滞します

今年もあと残すところ2日となりました。奇しくも区切りの良いタイミングとなりましたが、重要なお知らせをさせていただきます。

当ブログでは最低1ヶ月に1~2度程度の更新を維持するよう努めてきましたが、今後、しばらく更新がまばらになります。

私も45歳となりました。去年父親を亡くし、来年には長女が小学校を卒業します。ある意味、人生の節目とも言うべき時期にさしかかり、一度自分のこれまでと今後を見つめ直して、新しい目標を打ち立てることにしました。

その目標は将棋とは直接関係ないのでここで明かすことは控えます。が、今後はその目標達成への活動が、日々の行動の優先事項となります。その代わりに将棋活動の優先度を大きく下げざるを得なくなりました。今後は、これまでほどには将棋に時間は割けなくなり、その状況は少なくとも年単位で継続するでしょう。

少なくとも、仕事のある平日はせいぜいネットで数局指す程度になるでしょう。まとまった勉強の時間は休日にしか取れなくなるでしょうし、その時間も間違いなく減ります。

将棋自体はやめるつよりはありませんが、優先順は大きく下がるので、本ブログの更新にかけている時間は正直取れないだろうと思います。何か大きな事があったら更新するくらいになるでしょう。

最近はリアルでも「ブログ読んでます」と声をかけていただくこともあって嬉しかったりしましたが、私には新しい目標と並行して将棋の活動にMAXで情熱を傾けられるほど器用さも体力もありません。

そんなわけで、こんな拙いブログを読んでくださっている皆さんには申し訳ありませんが、当ブログは元々低かった更新頻度をさらに大幅に落とします。

数ヶ月、最悪年単位で更新は無いかもしれません。

誠に勝手ではありますが、悪しからずご了承ください。

棋譜並べ家族

気がつくと11月が終わろうとしていることに気づきました。なるべく更新の無い月を作らないようにしていたので危ないところでした。

仕事はそれほど忙しいわけではないのですが、家に帰るとまず棋譜並べ、晩飯後に今度は娘達と棋譜並べ、それが終わると「もう将棋はいいや」な気分になってしまってなかなかブログに着手する気力が残りません。

長女の中飛車については、序盤の基本については概ね身についたのではないかと思います。

しかしこれ以上になると、中飛車門外漢の私にはそろそろ教えるのは難しい。なので、今は長女にも棋譜並べを導入しています。中飛車の勝ち棋譜を探して、二人で並べていくやり方ですね。1日1局、先後それぞれ1回で計2回。

まあ、私でもプロの棋譜なんて理解できやしないわけで、果たして棋譜並べが今の長女のレベルで効果が上がるのか疑問もあったのですが、私ではもう教えられない、かといって自分で棋書を読みこなせない、となるともう棋譜並べしか頼れる物が無いわけです。

長女の反応は棋譜次第といったところで、うまいこと盛り上がることもあれば、淡々と並べて特に感動も無く終わることも。まあ、それも仕方ないかなと。

最近は次女も参加して、私が横で見ながら二人で並べるということも増えてますね。

しばらくは、一日のこの流れを習慣として定着させようというところです。

佐々木治夫杯を振り返る

日曜日に、「第26回佐々木治夫杯将棋大会オールイン北海道」に参戦してきました。

今回は団体戦での参加でした。スイス式4回戦で、個人としては●●●○チームとしては○●○○でした。

今回はその4局の中から、2局ほど軽く振り返ってみます。

まずは、2回戦の将棋から。チームとしては1-4でボロ負けでした。私としてもちょっと悔いの残る将棋でしたね。

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図面は記憶に頼っているので細部が違っているかもしれませんが、だいたいこんな感じだったはず。

見ての通り、四間飛車vs棒銀の急戦です。

「四間飛車を指しこなす本」にも出てきた形で、散々覚えたはずなんですが、いざ本番になると思い出せない鳥頭。

ここから、▲5五歩と突き捨てて、△同角▲5六金△2二角までは指しこな本にもあるとおり、ここで私は▲6五歩とやってしまいましたが、これが間違い。

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ここは▲6七銀を引くのが正着でした。飛車交換ならこちらに分があるし、△7五銀から、▲6五金から飛車先を抑えて優勢になるというのが指しこな本で学んだ定跡のはずなのに、忘れてしまってました…

ホント、この記憶力の貧弱さ、なんとかしたい…

さて、続いて最終局。

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相振り飛車です。先手の私は四間飛車から、6筋と8筋のダブル交換に成功して不満の無い流れ。ここで、私は狙いの一手を敢行します。

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端から仕掛けました。後手は自然に△同歩と取ってきましたが、その瞬間に、角交換から急所の▲5六角を設置。

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これで一本取りました。直接の狙いは、▲8三角成△同金▲同飛成の筋です。それを直接防ぐなら△8二銀くらいでしょうが、それなら▲8四歩△同歩▲9二歩が決まります。玉形差を考えるとまさか▲8四歩に△同飛とは取れないでしょう。

後手は受けは無いとみたか△6四角と飛車にあててから△4六歩と攻め合いに出てきました。ここで狙い筋の▲8三角成の前に、▲9二歩と味付け。

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△同香とつり上げてから▲8三角成△同金▲同飛成と進みました。後手は△8二歩と打ちましたが、そこで▲9二龍と香を取れるのが、▲9二歩の効果です。これをやってないと△8二歩に龍を引くしかなくなりますからね。

こうなると後は負けようのない形勢になりました。

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のりたま将棋クラブの相振りの猛者達と研究したりスパーリングした成果が発揮された一連の手順だったと思います。

これで個人成績4タコを免れただけでなく、チームとしても3-2で、勝利に貢献することができました。

さて、余談を3つほど。

<チーム構成>

今回は札幌将棋センターのチームで出ましたが、チームメイトは、大将:中学生、副将:大学生、三将:高校生、四将:四十代(私)、五将:(多分)アラ還と、実に幅広い年齢層のチームでした(笑)。ちなみに棋力的には私が一番下です。五将のTさんは、個人成績全勝で賞をもらってました。さすがです。

<目の前に居るよ…>

最終戦の前、相手チームの雑談が聞こえてきました。

「まだ小学生だった頃の横山君(アマ名人の横山大樹氏のこと)と指して勝ったことあるだよね。札幌将棋センターでだったと思うけど」
「あそこ、まだ残ってるんだっけ?」
「移転したって聞いたけど…残ってるんじゃないの?」

そこから出場している奴らが目の前にいるんですけどね…ついでに言えば、私はあなたたちのチームのリーダーとそこで対局したこともありますよ。ボコボコにされましたけど(笑)

<どこかで見たような…>

3戦目。私の相手の方、なんかどこかで見覚えがある気がしてました。前にどこかの大会で当たった方だろうか…とか思ってたんですが、感想戦後、相手の方が不意のひと言。

「○○ちゃん(次女の名前)のお父さんですか?」

…ヤマダ電機将棋教室の講師さんでした(笑)。

せっかくなので、教室での二人の様子などを聞いたりしてみました。…次女よ、お前はすこし対局中のおしゃべりをなんとかしような…

[自戦譜]のりたま名人戦C級リーグ vs amanozo

今回の自戦譜はのりたま名人戦C級リーグの2回線、対amanozoさんです。

amanozoさんはレート1019で、C級のレート帯では上位の方に位置する方です。当然のごとく強敵なのですが、前回はごろもさんに敗れているので、連敗は避けたいところ。

将棋は四間飛車の対抗型となりました。

▲7六歩 △3四歩 ▲6八飛 △6二銀 ▲6六歩 △4二玉
▲4八玉 △5二金右 ▲3八銀 △3二玉 ▲3九玉 △1四歩
▲1六歩 △8四歩 ▲7八銀 △5四歩 ▲2八玉 △8五歩
▲7七角 △4四角 ▲6七銀 △3三桂

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居飛車はいわゆる「ミレニアム」ですね。私これ苦手なんですよ。対策しようにも意外と情報に乏しくて…。桂頭攻めがポイントになる、くらいの知識しか無い私は、いざという時桂頭を攻めるぞという構えだけは見せておくのですが…。

▲5八金左 △2二銀 ▲4六歩 △4二金寄 ▲5六銀 △2一玉
▲3六歩 △3一金 ▲4七金 △3二金寄 ▲3七桂 △5一銀
▲6五銀

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四間飛車ではほとんど見かけない、6筋の歩越し銀。もちろん、狙いは5四の歩の掠め取り。飛車を回って受けたら、8筋から逆襲しようというもくろみなワケですが、そううまくはいかなかった。

△5二飛 ▲8六歩 △同 歩 ▲8八飛 △8二飛 ▲8六角
△4二銀

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ここに来て私のもくろみは完全に失敗していることを悟ることになりました。

後手からは△6六角の飛び出しがありますが、かといって▲7七角と引いても飛車交換されると玉形の差で不利に陥る。かといってうまい受けも他に見当たらない。本譜は▲5六金と上がりましたが、どうにも苦し紛れの感は否めません。

▲5六金 △5三角 ▲7五歩 △同 角 ▲8七歩

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こんな歩を打たされているようでは…という感じですね。この後は割と一方的にボコられる展開が続くことになります。

感想戦では、第2図の後、△5二飛に対して、8筋を突き捨てる前に▲8八飛ではないかという話になりました。確かにそうですね。今度は8筋に戻られても堂々と▲5四銀と取れますし、5筋に居座るなら今度こそ▲8六歩から逆襲できます。

△8六角 ▲同 歩 △5五歩 ▲同 金 △7九角 ▲8七飛
△6八角成 ▲3五歩 △7八馬 ▲7七飛

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こちらも必死の抵抗ですが、無理がある感は否めません。本譜では、この飛車のぶつけに対して△同馬でしたが、△8九馬が勝るのではないかと感想戦で出てきました。

△同馬ならただの飛車角交換だが、△8九馬なら純粋な桂得。先手の飛車にはすぐに捌ける目処はないので、慌てて取る必要はなかっただろうと。とはいえ、本譜の手順でも、二枚飛車で攻められる未来が確定しているので、片美濃ではとても支えられる気がせず、絶望感を堪えながらの指し手が続きます。

△同 馬 ▲同 桂 △8六飛 ▲3四歩 △8八飛成 ▲3三歩成
△同銀右 ▲4五桂打 △8九飛 ▲3三桂不成△同 金 ▲5八銀
△3六桂 ▲1七玉 △3四金 ▲5六角

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鬼より怖い二枚飛車に攻められ、急所に桂まで打たれて早くも風前の灯火感。その中で放ったこの角打ちは私なりの渾身の勝負手でした。

本命は8九の飛車ではなく3四の金。なので、ここで3五金とか冷静によけられると、もう投了するしか無かっただろうと思います。▲8九角△同龍となると、△4九龍~△3九角みたいな筋もちらつき、後手玉には寄せのとっかかりも無く、どうにも勝ち目が見えません。

△5八龍 ▲3四角 △4九飛成 ▲同 銀 △2八龍 ▲2六玉
△2四金 ▲3五歩 △3四金 ▲同 歩 △2四銀 ▲3六玉
△6九角 ▲5八桂 △3五歩

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こちらも必死の防戦。相手の駒不足に望みを託してなんとか首の皮一枚で堪えるような凌ぎが続きます。

△5八龍 ▲3四角 △4九飛成 ▲同 銀 △2八龍 ▲2六玉
△2四金 ▲3五歩 △3四金 ▲同 歩 △2四銀 ▲3六玉
△6九角 ▲5八桂 △3五歩 ▲4五玉 △3七龍 ▲5四玉

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ここに至るまで、ソフトで調べれば後手にいくつかの緩手があったことがわかるのですが、やってる方はお互い必死です。なんとかしのいでしのいで、ようやく楽園が見えてきました。

△5七龍 ▲5六歩 △7七龍 ▲7一飛 △8六龍 ▲7二飛成
△8四龍 ▲6三玉 △6一歩 ▲5三角 △3四龍 ▲6一龍
△4一桂 ▲6二角成 △3二龍 ▲8一龍 △3六歩 ▲6四桂
△7一桂 ▲同 龍 △6二龍 ▲同 龍 △8七角成 ▲5二桂成
△3五角 ▲5一龍 △6二歩 ▲7二玉 △8六馬 ▲6四桂
△8五馬 ▲4二成桂 △6三馬 ▲8二玉 △8一歩 ▲9一玉
△5三角 ▲3四香 △4二角 ▲3一香成 △同 銀 ▲6一龍
△5一香 ▲4五金 △5三桂打 ▲3四金 △3二銀

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こちらはついに入玉を果たし、攻守が入れ替わることになりましたが、amazonoさんの粘りもさすがに頑強。いつのまにか後手玉の牙城も分厚くなりました。

その後はこちらも狭いところへ追いやられたりしてなかなかスリリングでしたが、危ない駒を渡さないように注意しながら、少しずつ網を絞り、どうにかこうにか後手玉を捕まえることに成功。

▲1五歩 △6五桂 ▲7二歩 △6四角 ▲8一玉 △7四歩
▲8二歩 △5二馬 ▲7一飛 △6一馬 ▲同飛成 △8九飛
▲9二金 △4九飛成 ▲5一龍 △8九龍 ▲4二角 △同 角
▲同 龍 △3一銀 ▲6二龍 △8三銀 ▲8六香 △9二銀
▲同 玉 △5三角 ▲6一龍 △8六龍 ▲6三角 △6二金
▲同 龍 △同 角 ▲3三歩 △7三角 ▲3二歩成 △同 銀
▲9一銀 △8九飛 ▲7一銀 △8三龍 ▲8一玉 △6一歩
▲4二金 △3一香 ▲2三金 △5二歩 ▲2二金打
まで185手で先手の勝ち

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実に185手の長丁場となりました。3局ぶっ続けで指したくらいの疲労感を感じてしまいました。

レート的に上位のamanozoさんから白星を取れたのは大変大きい。まだ昇格のチャンスも残っていますし、残りも気を引き締めて戦っていきたいところですね。

以下、棋譜です。

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[自戦譜]のりたま名人戦C級リーグ vs HagoromoTensyo

今回の自戦譜はのりたま名人戦C級リーグの2回線、対HagoromoTensyoさん(以下「はごろもさん」と略す)です。

C級は24のレーティング的にはだいたい500~1000くらいの棋力帯ですが、その中にあってはごろもさんのレートは1200超え。当然ながら、昇格候補の一番手なわけで、レート差にして500以上下の私は圧倒的な格下です。

逆にここで一発入れられれば、リーグ戦の展開が非常に優位に立てるのですが、はてさて…

▲7六歩 △3四歩 ▲6八飛 △8四歩 ▲6六歩 △6二銀
▲4八玉 △5四歩 ▲3八玉 △5三銀 ▲7八銀 △5二金右
▲2八玉 △8五歩 ▲7七角 △4二玉 ▲3八銀 △3二銀
▲1六歩 △1四歩 ▲5八金左 △3一玉 ▲4六歩 △7四歩
▲3六歩 △9四歩 ▲9六歩 △7三桂

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はごろもさんは先週A_wawawawaさんと指していて、その将棋を見ていました。その感想戦で、はごろもさんは四間飛車に対してはポンポン桂を愛用するという情報がもたらされていました。

ただでさえレート差があるのに、相手の得意戦法にまともに乗っかっては勝ち目は無い、というわけで基本的な方針は「ポンポン桂封じ」。具体的には、▲6七銀をギリギリまで保留するという方針ですね。

ポンポン桂にせよ早仕掛けにせよ、角交換を桂で取らせて飛車先突破を狙うというのが基本方針ですので、角交換をされても銀で取れるよう、銀上がりを極力待つわけですね。

とはいいつつも、元々自分の四間飛車は▲6七銀をあまり急がないので、それほど特別なことをしているというわけではないのですが。

▲4七金 △6四銀 ▲6七銀 △8四飛 ▲5六歩 △7五歩
▲6五歩

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というわけではごろもさんはポンポン桂を諦め、飛車浮きで桂頭を守りつつのナナメ棒銀に方針を切り替えてきました。

△7五歩に▲6五歩と、いつもの反発から華々しい対抗型の戦いの火蓋が切って落とされました。

ただ、冷静に考えてみるとここは▲7八飛だよなぁ、とは後になって思いました。

このとき密かに注目していたのが、後手の飛車と玉の位置関係。なんか技がかかりそうに見えるじゃないですか。なので、少し作戦勝ちになったかな、などと思ってました。実際どうかは知りません。

△同 桂 ▲2二角成 △同 玉 ▲6六銀 △3三角 ▲5五歩
△8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲5四歩 △8九飛成 ▲6五銀
△7七角成 ▲5八飛 △5五銀 ▲5三歩成

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ここは成り捨ててから桂を打つか、先に桂を打つかで迷っていたのですが、後手から具体的に早い攻め筋が見えているわけでもないので、先に桂打ちの方が勝ったかもしれない。ちょっと急ぎすぎですね。

少なくともこの成り捨てから▲4五桂打という本譜の順は、ソフトの評価的は散々で、下手すりゃ敗着、というレベルだったっぽい。代わりに提示されているのは▲2六桂とか▲7三角で、それでやや後手よりの互角。本譜の手順は、単なる味消しだということなんでしょうね。

将棋YouTuberのアユムさんが、「級位者と有段者の将棋の最大の違いは、『タメ』を作れているかどうかだ」と言ってて、それを聞いて以来、極力タメは意識して指しているつもりなんですが、やっぱりまだ具体的な脅威が見えているわけでもないのに、なんとなく怖くなって攻め急ぐクセがなかなか抜けません。

△同 金 ▲4五桂 △4四金 ▲5三桂成 △6六桂 ▲5七飛
△6八馬 ▲5四成桂 △5六歩 ▲同 銀 △5七馬 ▲同 金
△5六銀 ▲同 金 △5八桂成 ▲同 金 △3九銀 ▲3七玉

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正直この局面は、相手の持駒が飛車と歩だけでは続かんだろうし、変に間違えなければまだまだやれると思ってました。

が、実際ソフトの評価にかけてみると1500以上後手に傾いていて「後手勝勢」の評価。うーむ…大局観が悪いな、やっぱ。

△5四金 ▲1七桂 △3五歩 ▲3四桂 △1二玉 ▲2五桂
△3六歩 ▲2六玉 △3一金

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正直なところ、対局直後は勘違いをしていて、この局面の直前まで、ソフトの評価はこちらが良いと思っていたのですが、今見ると逆に見ていました。

つまり、この局面の直前まではこちらが敗勢だったのですが、この△3一金が、負けていれば敗着とも言うべき悪手だったらしい。

普通に△2四歩と桂を切り取りに行って後手の勝ちだったと。

ただ、私は悪手に悪手を返してこのチャンスをフイにします。

▲1三角

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時間に追われていたというのもありますが、十分に読み切れないまま決行した角打ち。結果的に事実上の敗着となりました。

ここでの正着は、▲4二角とのこと。

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放置すれば▲3一角成でほぼ受けなしなので△同金でしょうが、▲1三銀△同桂▲同桂成△同玉▲3一角成△2四玉▲4二角成△3三銀▲2五金△1三玉▲3三馬で寄り。

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▲4二角が見えなくても、▲1五歩くらいでも先手の勝ち筋だったらしい。

本譜の▲1三角は次に▲3一角成の狙いですが、無難に△同桂と取られ、もう一枚香車でもあれば…という状態だったのですが、無い袖は振れず。寄せは途切れ、後は無難に寄せられゲームセット。

△同 桂 ▲同桂成 △同 玉 ▲2五桂 △1二玉 ▲1三銀
△2一玉 ▲2二角 △4四角 ▲同角成 △同 金 ▲2二角
△3五角 ▲3六玉 △3四金 ▲1一角成 △同 玉 ▲3三香
△4四桂 ▲4七玉 △3六角 ▲5七玉 △5八角成 ▲同 玉
△5九飛
まで104手で後手の勝ち

そこそこうまく指していたつもりだったんですが、実際はそうでもなかったということでちょっと凹む将棋でしたね。

やっぱり中盤の攻め急ぎが状況を決定的に悪くした要因なようですね。

タメがまだまだ意識できてないですよね。

余談ですが、実ははごろもさんはリアルで私と指したことがあるんだそうです。私の方には認識が無いですが、はごろもさんは札幌近郊にお住まいで、私が行き付けている某将棋センターで「娘さんを二人連れている二段」と指したことがあると。あー、そりゃどう考えても私っすね(笑)

このブログも以前から読んでくれているとのことで、のりたま将棋クラブにもこのブログがきっかけで入られたとか。いやはや、これはのりたまさんにボーナスをいただかないといけませんね。とりあえず毛髪5000本くらいで手を打ちますか(笑)

以下、棋譜です。

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長女と中飛車

棒銀、四間飛車と渡り歩いてもなかなか棋力が伸びない娘達。元々そんなにモチベーションが高いわけでもないので、そんな状況に安寧としていたわけですが、少なくとも長女には勝ちたいという願望はあるようなので、それをなんとか喚起しつつ、twitterやこちらのコメントでも薦められた中飛車を覚えさせることにしました。

 

ただ長女は棋書を読みこなせないようなので、これもお勧めしていただいた上の商品を購入。上記の品は、戸部七段による解説動画が収録されたDVDが付いていて、それが目当てですね。動画部分は全部ファイルに落として娘のタブレットに転送し、いつでも視聴できるようにしておきました。

それだけだと積極的にやろうとしないのは目に見えているので、私が家に居るときは1日2局、練習対局をするようにしました。中飛車を身につけるのが目的なので長女はもちろん戦法固定で。あくまで習得が目的なので、明らかにおかしな手を指した場合は、考えさせて指し直しをさせるスタイルですね。

あとこれは、どこかのブログで見かけた指導方法ですが、対局終了後に、本人にその将棋のポイントの振り返りをさせる。学んだことを定着させるのにいい方法だと思ったので採用させてもらっています。

こうしたことを一ヶ月続けてみましたが、長女自身は中飛車に好感触を感じ始めたようです。将棋センターでの娘の対局を見る機会はあまりありませんが、わりと勝利数も増えているとのこと。

今の所属リーグのレベルだと、ある程度基本的な部分が身につけば、ある程度突き抜けることができるはずと思ってます。そこに至ることができればもう少し将棋が楽しくなるのではとおもっているのですが、どうだか。

え?次女ですか?次女は今は長女ほどにもモチベーションが無さそうなので放置してます。中途半端なモチベーションで長女と同じ事をさせて、その無気力っぷりに長女が巻き込まれても困りますし。

長女がある程度先行することで、次女のやる気を引っ張り上げてくれることに期待している状態ですね。

[自戦譜]のりたま名人戦C級リーグ vs A_wawawawa

第12期の開幕戦です。

前期は結局最終戦を落として降格が決まってしまいましたが、その時の相手がA_wawawawaさん。

なんでお前降格したのにまた同じ相手と同じリーグで開幕局指してるんだよって話ですが、今期は参加者が大きく増えてリーグ構成が変わったあおりですね。

こちらとしてはリベンジの機会が早々に訪れたわけです。だからというわけでもないのですが、今回は普段あまりやらない事前準備をして臨みました。

私は最近相振りでも四間飛車に戦法を固定していますが、それを知っているA_wawawawaさんがTwitterで、私との対局の戦型想定をしていたのですね。なんか戸部式石田流なる対四間飛車陣形みたいな図を載せて、こういう形に持って行きたいと。

過去何度か対局して、A_wawawawaさんは形にはまると強いタイプだという認識がありました。がっちり組み合うような将棋だと、相振り飛車の世界では向こうに一日の長もありますし、相手が準備している形に持ち込まれると、まず勝ちにくそうだと。

漫然と指すのでは無く、その形に持ち込まれるのを避けなければ。

なので、今回は「乱戦に持ち込もう」と対局前から決めていました。

たまたま、数日前に購入したこの本が、役に立ちましたね。

振り飛車党の中で結構話題になっているらしい本ですが、めずらしく相振り四間飛車に対する言及があったという理由だけで購入しました。その中にあった、一番激しい形に今回は持ち込んでみました。

それでは、本譜です。

▲7六歩 △3四歩 ▲6八飛 △3二飛 ▲2二角成 △同 飛
▲6五角 △5四角

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四間飛車から角交換するとここまでは必然で、ここが一つの分岐。先手は▲8三角成か▲5四同角かです。▲8三角成が一番激しくなり、▲5四同角とすると先手だけが馬を作って、それを主張にした比較的穏やかな展開に。

多少迷いましたが、初志貫徹で一番激しい展開を選択。

▲8三角成 △2七角成 ▲5六馬 △5四馬 ▲3四馬 △4二銀

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ここで上記の本の記載から離れました。上記の本では代わって△7六馬に、▲2八飛とふり戻すんですが、そのような展開にはならず。ここからは文字通り手探りです。

▲5六馬 △3三銀 ▲3八金 △7二金 ▲8八銀 △1四歩
▲7七銀 △1五歩

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相振りに親しむようになると、狙いが見え見えの端攻めなんですが、これが意外と対処に困った。本譜は▲2七歩と馬筋を止めたんですが、今度は2筋を攻められて困ることに。

ソフトに訊くと、ここでは▲3六歩△同馬と馬を引き寄せてから▲3七金とはじいたり、▲2八銀と固めるのがいいらしい。なるほどね…ここは覚えるべきポイントか。

▲2七歩 △2四歩 ▲8八飛 △2五歩 ▲2八銀 △1六歩
▲8六歩 △3四歩

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この△3四歩が感想戦でA_wawawawaさんが盛んに悔いていた手。確かにこれで相当助かったと私も思ってました。唯一の持ち歩を手放してくれたので堂々と▲1六歩と取れるようになりました。△2六歩▲同歩の時に△1八歩と打つ歩がありません。

感想戦では△1七歩成強攻だろうね、という話になりました。後でソフトで確認してみると、一例として△1七歩成▲同香△1六歩▲同香△同香▲1七歩△2六歩▲同歩△1八馬▲2七銀△2九馬▲1六歩と進み、やや後手寄りの互角ということらしい。

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本譜の展開はソフトによるとやはり先手にかなり形勢が傾いているようです。

▲1六歩 △2六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲2七歩 △2四飛
▲8五歩 △2二飛 ▲8四歩 △8二歩 ▲9六歩 △4四銀
▲3四馬

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この▲3四歩は感想戦では「欲張りすぎだった」という結論になってました。代わって、▲4六歩だろうと。馬の退路を確保するとともに、銀の動きを牽制しつつ9筋への馬筋を維持するというかなり味よく見える一手で、私もその場では納得してたのですが、ソフトはこの▲3四馬が最善であるとしています。

△3二金 ▲6六歩 △4五銀 ▲3五馬 △3三金 ▲6八玉
△3四金 ▲1七馬

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こうなることは▲3四馬を決行したときから予想はしてましたが、実際こうなってみると予想以上に馬が使いづらくなってやりづらい。

ただ、ソフトが▲3四馬を最善とした理由は、途中△3三金に▲4六歩と銀にあて、△3四金なら▲4五馬で二枚替えに持ち込める、ということらしいですね。なるほど。

△2五金 ▲7八金 △1六香 ▲同 馬 △同 金 ▲同 香

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▲3四馬と取り込んだときから、もしかするとこうなるかも、と想定していた局面になりました。

ここはお互いの見解が分かれていて、A_wawawawaさんは「馬を消して少し良くなったと思った」、私は「働きの悪い馬を二枚替えで処理できてありがたかった」。その時の一応の結論は、先手の馬はこの状態で放置するのが良いだろうというものでしたが、確かにソフトもそれを裏付ける数字を出してますね。この一連の交換で、評価値は先手に500ほど傾きました。

△4九角

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ちょっとハッとさせられましたが、直前にに金を手に入れてたので▲4八金打で事なきを得ました。

ただ、この筋があるなら玉の位置は6八より5八が良かったかもしれません。

▲4八金打 △7六角成 ▲同 銀 △同 馬 ▲1一香成 △2六歩
▲7七歩 △5四馬 ▲2一成香 △同 飛 ▲2六歩 △5二玉
▲3二角 △2六飛 ▲2七歩 △2四飛 ▲1六桂

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飛車を動かさないことには次の△3一歩くらいで角が逝ってしまうので、筋が悪いなぁとは思いつつも決行した桂打ちですが、▲4六歩で銀を追ってから▲3六桂という手があったようです。

▲4六歩に放置して△3一歩と角を取りに来れば▲2六香と飛車取りに打ち、△2五歩▲同香△同飛▲1四角成と逃れることができる。

ただまあ、この▲1六桂も遊ぶこと無くすぐに活用できたので良かったです。

△3四飛 ▲2三角成 △4四馬 ▲2四桂 △3一香 ▲3二香
△3三馬 ▲3四馬 △同 馬 ▲3一香成 △2四馬 ▲2二飛
△4二角 ▲3二成香

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このあたりから勝勢と意識してました。8筋を詰めておいたのがここに来て大きく効いてます。

△5六桂 ▲5九玉 △4八桂成 ▲同 玉 △3一金 ▲同成香
△5六銀 ▲4六香 △3三馬 ▲1二飛成 △6六馬 ▲6八金打
△5四歩 ▲3二成香 △2二歩 ▲6七歩 △5九銀 ▲同 玉
△5七馬 ▲4二成香 △5三玉 ▲8六角 △6四歩 ▲4三香成
△6三玉 ▲6六桂 △7四歩 ▲2一龍 △4六歩 ▲5一龍
△6二銀 ▲5三成香 △7三玉 ▲6二成香 △同 金 ▲6四角

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これで即詰み。詰将棋的な捨駒がきれいに決まって指した瞬間気分が高揚したのを覚えてます。中盤戦はただの置物になっていた8八の飛車までが最後に詰みに関わってくるという、自分的には過去にも数えるほどしか経験の無い、最高に美しいフィニッシュになった気がします。会心譜と言ってもいいかもしれないです。

△同 玉 ▲5四龍 △7三玉 ▲7四龍
まで129手で先手の勝ち

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振り飛車に転校してからはA_wawawawaさんには練習も含めて勝てていなかったので、ようやく初日が出て一安心と言ったところです。

昔は乱戦にアレルギーがあって、自分から乱戦に持ち込むなんて考えられなかったんですが、居飛車党時代に一時期狂ったように相横歩取りばかり指していた時期があり、それで乱戦に免疫ができたようです。今回はそれが活きましたか。

あと、この記事を書いてて思いましたが、乱戦将棋はきちんと振り返るととくに中終盤で勉強になることが多い。この記事の図面の多さを見れば一目瞭然でしょう。隠れている手筋を見逃すと瞬く間に形勢がひっくり返りますし、終盤はギリギリのたたき合いになることも多いので、速度計算と読みの正確さが求められます。

今後相振り四間は乱戦含みの角交換型を主力にしていこうかな。

以下、棋譜です。

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