第12期の開幕戦です。
前期は結局最終戦を落として降格が決まってしまいましたが、その時の相手がA_wawawawaさん。
なんでお前降格したのにまた同じ相手と同じリーグで開幕局指してるんだよって話ですが、今期は参加者が大きく増えてリーグ構成が変わったあおりですね。
こちらとしてはリベンジの機会が早々に訪れたわけです。だからというわけでもないのですが、今回は普段あまりやらない事前準備をして臨みました。
私は最近相振りでも四間飛車に戦法を固定していますが、それを知っているA_wawawawaさんがTwitterで、私との対局の戦型想定をしていたのですね。なんか戸部式石田流なる対四間飛車陣形みたいな図を載せて、こういう形に持って行きたいと。
過去何度か対局して、A_wawawawaさんは形にはまると強いタイプだという認識がありました。がっちり組み合うような将棋だと、相振り飛車の世界では向こうに一日の長もありますし、相手が準備している形に持ち込まれると、まず勝ちにくそうだと。
漫然と指すのでは無く、その形に持ち込まれるのを避けなければ。
なので、今回は「乱戦に持ち込もう」と対局前から決めていました。
たまたま、数日前に購入したこの本が、役に立ちましたね。
振り飛車党の中で結構話題になっているらしい本ですが、めずらしく相振り四間飛車に対する言及があったという理由だけで購入しました。その中にあった、一番激しい形に今回は持ち込んでみました。
それでは、本譜です。
▲7六歩 △3四歩 ▲6八飛 △3二飛 ▲2二角成 △同 飛
▲6五角 △5四角
四間飛車から角交換するとここまでは必然で、ここが一つの分岐。先手は▲8三角成か▲5四同角かです。▲8三角成が一番激しくなり、▲5四同角とすると先手だけが馬を作って、それを主張にした比較的穏やかな展開に。
多少迷いましたが、初志貫徹で一番激しい展開を選択。
▲8三角成 △2七角成 ▲5六馬 △5四馬 ▲3四馬 △4二銀
ここで上記の本の記載から離れました。上記の本では代わって△7六馬に、▲2八飛とふり戻すんですが、そのような展開にはならず。ここからは文字通り手探りです。
▲5六馬 △3三銀 ▲3八金 △7二金 ▲8八銀 △1四歩
▲7七銀 △1五歩
相振りに親しむようになると、狙いが見え見えの端攻めなんですが、これが意外と対処に困った。本譜は▲2七歩と馬筋を止めたんですが、今度は2筋を攻められて困ることに。
ソフトに訊くと、ここでは▲3六歩△同馬と馬を引き寄せてから▲3七金とはじいたり、▲2八銀と固めるのがいいらしい。なるほどね…ここは覚えるべきポイントか。
▲2七歩 △2四歩 ▲8八飛 △2五歩 ▲2八銀 △1六歩
▲8六歩 △3四歩
この△3四歩が感想戦でA_wawawawaさんが盛んに悔いていた手。確かにこれで相当助かったと私も思ってました。唯一の持ち歩を手放してくれたので堂々と▲1六歩と取れるようになりました。△2六歩▲同歩の時に△1八歩と打つ歩がありません。
感想戦では△1七歩成強攻だろうね、という話になりました。後でソフトで確認してみると、一例として△1七歩成▲同香△1六歩▲同香△同香▲1七歩△2六歩▲同歩△1八馬▲2七銀△2九馬▲1六歩と進み、やや後手寄りの互角ということらしい。
本譜の展開はソフトによるとやはり先手にかなり形勢が傾いているようです。
▲1六歩 △2六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲2七歩 △2四飛
▲8五歩 △2二飛 ▲8四歩 △8二歩 ▲9六歩 △4四銀
▲3四馬
この▲3四歩は感想戦では「欲張りすぎだった」という結論になってました。代わって、▲4六歩だろうと。馬の退路を確保するとともに、銀の動きを牽制しつつ9筋への馬筋を維持するというかなり味よく見える一手で、私もその場では納得してたのですが、ソフトはこの▲3四馬が最善であるとしています。
△3二金 ▲6六歩 △4五銀 ▲3五馬 △3三金 ▲6八玉
△3四金 ▲1七馬
こうなることは▲3四馬を決行したときから予想はしてましたが、実際こうなってみると予想以上に馬が使いづらくなってやりづらい。
ただ、ソフトが▲3四馬を最善とした理由は、途中△3三金に▲4六歩と銀にあて、△3四金なら▲4五馬で二枚替えに持ち込める、ということらしいですね。なるほど。
△2五金 ▲7八金 △1六香 ▲同 馬 △同 金 ▲同 香
▲3四馬と取り込んだときから、もしかするとこうなるかも、と想定していた局面になりました。
ここはお互いの見解が分かれていて、A_wawawawaさんは「馬を消して少し良くなったと思った」、私は「働きの悪い馬を二枚替えで処理できてありがたかった」。その時の一応の結論は、先手の馬はこの状態で放置するのが良いだろうというものでしたが、確かにソフトもそれを裏付ける数字を出してますね。この一連の交換で、評価値は先手に500ほど傾きました。
△4九角
ちょっとハッとさせられましたが、直前にに金を手に入れてたので▲4八金打で事なきを得ました。
ただ、この筋があるなら玉の位置は6八より5八が良かったかもしれません。
▲4八金打 △7六角成 ▲同 銀 △同 馬 ▲1一香成 △2六歩
▲7七歩 △5四馬 ▲2一成香 △同 飛 ▲2六歩 △5二玉
▲3二角 △2六飛 ▲2七歩 △2四飛 ▲1六桂
飛車を動かさないことには次の△3一歩くらいで角が逝ってしまうので、筋が悪いなぁとは思いつつも決行した桂打ちですが、▲4六歩で銀を追ってから▲3六桂という手があったようです。
▲4六歩に放置して△3一歩と角を取りに来れば▲2六香と飛車取りに打ち、△2五歩▲同香△同飛▲1四角成と逃れることができる。
ただまあ、この▲1六桂も遊ぶこと無くすぐに活用できたので良かったです。
△3四飛 ▲2三角成 △4四馬 ▲2四桂 △3一香 ▲3二香
△3三馬 ▲3四馬 △同 馬 ▲3一香成 △2四馬 ▲2二飛
△4二角 ▲3二成香
このあたりから勝勢と意識してました。8筋を詰めておいたのがここに来て大きく効いてます。
△5六桂 ▲5九玉 △4八桂成 ▲同 玉 △3一金 ▲同成香
△5六銀 ▲4六香 △3三馬 ▲1二飛成 △6六馬 ▲6八金打
△5四歩 ▲3二成香 △2二歩 ▲6七歩 △5九銀 ▲同 玉
△5七馬 ▲4二成香 △5三玉 ▲8六角 △6四歩 ▲4三香成
△6三玉 ▲6六桂 △7四歩 ▲2一龍 △4六歩 ▲5一龍
△6二銀 ▲5三成香 △7三玉 ▲6二成香 △同 金 ▲6四角
これで即詰み。詰将棋的な捨駒がきれいに決まって指した瞬間気分が高揚したのを覚えてます。中盤戦はただの置物になっていた8八の飛車までが最後に詰みに関わってくるという、自分的には過去にも数えるほどしか経験の無い、最高に美しいフィニッシュになった気がします。会心譜と言ってもいいかもしれないです。
△同 玉 ▲5四龍 △7三玉 ▲7四龍
まで129手で先手の勝ち
振り飛車に転校してからはA_wawawawaさんには練習も含めて勝てていなかったので、ようやく初日が出て一安心と言ったところです。
昔は乱戦にアレルギーがあって、自分から乱戦に持ち込むなんて考えられなかったんですが、居飛車党時代に一時期狂ったように相横歩取りばかり指していた時期があり、それで乱戦に免疫ができたようです。今回はそれが活きましたか。
あと、この記事を書いてて思いましたが、乱戦将棋はきちんと振り返るととくに中終盤で勉強になることが多い。この記事の図面の多さを見れば一目瞭然でしょう。隠れている手筋を見逃すと瞬く間に形勢がひっくり返りますし、終盤はギリギリのたたき合いになることも多いので、速度計算と読みの正確さが求められます。
今後相振り四間は乱戦含みの角交換型を主力にしていこうかな。
以下、棋譜です。
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