※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。
※掲載にあたって、YouTubeチャンネル「元奨励会員アユムの将棋実況」のアユムさんより許諾をいただいてます。
今回は「元奨励会員アユムの将棋実況」の動画より、『「粘り」のコツを解説しようとしたら端角中飛車に大苦戦してまさかの実演に(笑) 10分切れ負け将棋ウォーズ実況』の棋譜をご紹介いたします。
端角中飛車はウォーズ初段クラスでも結構出現頻度の高い戦法で、私も時々受け間違えてコテンパンに潰されてしまう、あまりいい思い出の無い戦法です。早石田なんかは、割とやってくるとありがたい戦法なんですが、端角中飛車はいまだに怖い。
初中級者レベルではわりと有力な戦法だと思うのですが、対策とかは本も出てないですし、プロの将棋には当然ながら登場することは皆無なので、勉強しようと思っても難しいものがあります。
でもアマチュア高段者の棋譜ならそれが学べちゃう。やはり、アマチュア強豪の棋譜を並べてみるというのは、有力な勉強法だと思います。
それでは、早速…
▲7六歩 △5四歩 ▲2六歩 △1四歩 ▲2五歩 △1三角
▲6八金
対端角中飛車でよくあるハマリパターンが、普通に舟囲いに囲おうとして▲6八玉と上がった瞬間に端角の筋を活かして△5六歩と突かれるパターン。なので、なるほど、無理に舟囲いにはせず、6九→7八のルートで安全に囲おうということですか。
△5二飛 ▲6九玉 △5五歩 ▲2六飛
△5五歩を許したのは「相手の主張を通しすぎた」とアユムさん。私はあえて5筋を受けずに位を取らせることも多いんですが、それでもやはり△5六歩からの歩交換は許しちゃいかんと、飛車浮き。
△6二玉 ▲7八玉 △7二玉 ▲5八金上 △8二玉 ▲1六歩
△3五角 ▲3六飛 △6二角 ▲4六飛
先手の飛車は2六に戻れなくなり歩越し飛車を強要された状態で、既に指しにくい状態。▲3六飛ではおとなしく▲2八飛と引いておくべきだったと。
次に後手は当然△2二飛から2筋の逆襲を狙うわけですが、それを防ぐ▲4六飛。4三を受けるために金か銀が上がってくれれば2二へ飛車が回れなくなるという寸法。さしあたってスグに良くなる手が無ければ、自軍の課題を解決する手か、相手の指したい手を妨害する手ということでしょうね。
本譜は△3二金で、アユムさんの思惑通りになったわけですが、ここで△4二飛はなかったんですかね。次に△5二金左としてから△2二飛の狙いですが…。どうやら▲5五角△5二金左▲7五歩として、次に▲7四歩の狙いで先手が良くなるようです。歩越し飛車も解消できそうです。
△3二金 ▲4五飛 △5六歩 ▲4八銀 △7二銀 ▲4六飛
いやー、まだ開始から30手も経ってないのに色々魅せてくれます。
第3図の時点で、先手の課題は「歩越し飛車解消」と「右銀の活用」といったところでしょう。第3図からの一連の手順は、後手に5筋の突き込みから△5七歩成を強要し、それを▲同銀と取ることで右銀を世に出そうってことですね。
▲7五歩とすれば歩越し飛車解消の目処は立ちますが、何かの拍子に△7六桂や△7六香のキズが生じて善し悪しですね。そんなわけで銀の活用を優先したということでしょうか。
△5七歩成 ▲同 銀 △5四飛 ▲5六銀
この時点でアユムさんは非勢を感じていたようです。確かに、ソフトの評価値では500点ほど後手に傾いている。正直、後手は左の金銀がぼやけているように見えますし、攻め駒も飛車と角しか無い状態で、私にはさほど先手が悪いようには思えないんですけどね…
△5四飛の狙いは、△2四歩からの2筋転換。先手もそれを許すまじと銀をせり上げて飛車を圧迫に行きます。
△2四歩 ▲4五銀 △7四飛 ▲5四歩 △2五歩 ▲5六飛
△5二歩
▲5四歩と飛車の横利きを止めて後手にも歩越し飛車を強要。そして自分はちゃっかり歩越し飛車を解消。
大分差は縮まったんじゃないかと見てたんですが、それほどでもないようです。ただ後手も図の△5二歩よりは、△4二銀の方が良かったんじゃないかと思ってました。
一歩節約できますし、ぼやけていた左銀に多少なりともカツが入ります。
この後は、先手が歩越し飛車を咎めていじめて攻めるのが早いか、後手の2筋からのと金攻めが早いかという将棋になっていきます。
▲7七金 △2六歩 ▲8六金 △2七歩成 ▲7五金 △同 飛
最終的に飛車切りはやむを得なかったんでしょうが、いったんは△9四飛と逃げて手数を稼ぐほうが良さそうに見えました。アユムさんも同様のことをおっしゃってますね。
本譜でも、将来的に△7六香や△7六桂が生じるので、悪くはないのかもしれませんが。
▲同 歩 △3八と ▲1七桂 △2九と ▲2七飛 △2二銀
この手が後手の優勢を吹っ飛ばした悪手であるらしい。▲2一飛成とされても後手陣は堅いので強く△1九とと取り込むべきだったと。確かに、後手は香を持てば△7六香の含みもあるのでこちらの方がよいですか。
▲2九飛 △2六歩 ▲6八金 △3八金 ▲6九飛 △2七歩成
▲2五桂 △3七と ▲3四歩
何気ない手というか、むしろ「今更そこに手を付けるの?」と見た時は思ったのですが、アユムさんの解説によればこれは2五の桂と4五の銀を捌く含みを持たせた意味深長な一手だったらしい。将来的に▲3三桂成から桂か銀が手に入るようにしておく意味があるそうな。実際、最後はこの仕掛けがモノをいってくるのだから将棋は奥深い。
局面的には、飛金交換で先手駒得な上、後手は6二の角が隠居しているので先手が有利な局面だと思います。なので、あとは右翼の桂と銀が捌ければ優勢が拡大できる、ってことなんでしょうか。
△4七と ▲5五角 △6四歩 ▲同 角 △6三銀 ▲5三歩成
△同 歩 ▲同角成 △同 角 ▲同飛成 △5二金 ▲同 龍
飛車のぶった切り。いや、さすがに私でもこの手は選択肢には入れるだろうと思いますが、アユムさんは一切迷いませんでしたね。「これは受かってないですね」とほぼノータイムで決行。これが終盤力の差か…
△同 銀 ▲6二金 △7二飛 ▲5一角 △3五角 ▲4四歩
△6八角成 ▲同 飛
▲同銀ではなく▲同飛が地味に大事な選択で、3八の金を質駒にしているわけですね。
あとは、順当に寄せ切ってアユムさんの勝利。
△6一金 ▲7二金 △同 玉 ▲3三歩成 △同 桂 ▲同桂成
△同 銀 ▲6四桂 △6三玉 ▲3三角成
まで89手で先手の勝ち
いやー、序盤から中身の濃い将棋で、目からウロコの連続でした。もう端角中飛車なんて怖くない!…かもしれない。
以下、棋譜です。
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