不惑オヤジ(と娘)の将棋な日々

アラフォー親父と小学生娘の悪戦苦闘の記録

月別アーカイブ: 8月 2018

Re: 点と線

8月22日の記事に対するおさけさんのコメントに返答しようと思ったのですが、ことのほか長くなったので、記事として投稿することにします。

その記事の中で、yamakazさんにとって新しい情報や役立った部分はどの部分でしょうか?既知の情報もあったかと思います。ぜひ、それを具体的にして頂いた方が、将棋を教える側の立場になることが多い人には参考になるのではないかと思います。

筆者注:「その記事」とはこちらのブログ記事になりますね。

全体的には、既知の情報3割、未知の情報4割、なんとなくイメージレベルでは捕らえていたけれど自分の中で具体化されていなかった情報3割ってところでしょうか。

項目レベルで具体的に分けるとこんなところ。

  • 既知の情報
    • 形勢判断の要素
    • 駒の損得と緩急の考え方
  • 具体化されていなかった情報
    • 序中盤での形勢判断要素の序列
    • 玉の安全度の方向性と一局の方針
  • 未知の情報
    • 玉の堅さと緩急の考え方
    • 駒の効率と緩急の考え方
    • 駒の効率と、玉の安全度の方向性の組み合わせ
    • 大局観について

当該記事で一番私のニーズにヒットしたのは、形勢判断の各要素とそれに基づく考え方のパーツをベースに、大局観のところで戦型別に一局を通じた方針を立てる考え方に触れているところですね。

対振り飛車で居飛車急戦策を長年愛用してますが、中盤までは攻めを切らさず、しかし終盤は穏やかにという考え方はまったく意識したことがなかったです。受けは最低限のギリギリで凌ぎ、強引に美濃囲いを突き破っていくような指し方ばかり指向してたのでまさに目からウロコだったんです。

形勢判断の要素が「損得、効率、堅さ、手番」というのはわかっていても、じゃあそれを判断した後どう方針を立てるかといえば、極端な話、「損しているときは急ぐ、堅い時は多少強引な捌きもOK」程度しか、明確な認識がなかったわけですよ。

あるいは、yamakazさんにとっても全て既知の情報ではあったけれども、まとめて書かれていることがなかったので今回情報整理に繋がり、点が線になったということなのでしょうか?だとしたら教科書やカリキュラムの土台として各自の体系論に組み込むことで教える側の質が上がるように思います。

全てではないにせよ、既知の情報ももちろん多かったです。ただ、それらの情報がこういう形でまとめられているものにはお目にかかった記憶がありません。

多分、あちらこちらに断片的に散らばっている情報ではあるのでしょうが、こういった大局観論が体系的にまとめた情報は、私が知る限り他に絶無です。

プロの著述で、大局観に触れたものについては、私の蔵書の中では多分、以下の三冊が該当します。

上達するヒント (最強将棋レクチャーブックス(3))
羽生 善治
4861370086

初段最短コース 不朽の名著 (将棋連盟文庫)
内藤 國雄
B00HC6CX96

マイコミ将棋BOOKS 必ず役立つプロの常識 (マイコミ将棋ブックス)
阿久津 主税
4839934177

 

ただ、これらいずれも、「体系的にまとめられている」とはとても言えません。

唯一、内藤先生の本だけは体系化しようという試みが見て取れますが、ちょっと私が思う方向とは違う基軸になっているようで、いまひとつフィットしません。

なのでこれらの棋書も含めて、断片的に散らかっている大局観の情報をかき集めて体系化するという過程は、自分で開拓しないといけない状態になっています。大局観を身につける上で、私が「強い人に師事できる人は有利」と言う理由はそこにあります。

今の私はこのような状況を踏まえつつ、自分の中で断片的に点在する大局観論を線でつなぐために、普段の対局、観戦、棋譜並べで、より強く意識してやろうとしているところです。そのためにも、先ほどのサイトのようなうまくまとめられた情報の存在はとても助かるわけです。

ただ、それを意識し始めるとなぜか成績が絶賛急降下中で心が折れそうです(笑)。まあ、新しいことを始めたが故の産みの苦しみと捉えて、なんとか乗り越えようと思います。

もしかしたら私はあれこれ余計な事を難しく考えすぎで、もっと大雑把に漠然と捉えた方がうまく行くのかもしれないなと思ったりしますが、理屈屋理系頭の私に、それは難しいので…

もしかしたらなのですが、本では「将棋新理論」「本筋の見極め方」に書かれているかもしれません。いずれも谷川浩司著、です。あるいは米長邦雄著「将棋中級入門」だったかもしれません。

情報ありがとございます。入手を検討してみます。

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[棋譜並べ]柳原長吉vs天野宗歩(四枚落ち) 1853/01/27

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

今回取り上げるのは、1853年1月27日に行われた、柳原長吉vs天野宗歩の四枚落ち戦です。

今回から、私なりに大局観的視点を意識して棋譜を眺めてみようと思ってますが、そもそも駒落ち戦の場合、最初から上手と下手には戦力差という明確な違いがあります。よって、ある意味初形の時点で、上手および下手が取り得る戦略の方向性というものがある程度決まってくるのではないかと考えてます。

初形の時点で、上手は駒損しているわけですから、形勢判断のセオリーに従えば基本的には急いで攻めたいはず。しかし、本譜のような四枚落ちのレベルだと、大駒が無いため早い攻めというのが物理的に難しい。よって、次善の策として、「全ての駒をまんべんなく活用するため、なるべく下手の攻めを遅らせて時間を稼ぐ」というのが基本戦略になるのかなぁ、と思います。ただでさえ戦力差があるのだから、せめて現有戦力を最大限に活かして抵抗しよう、ということですね。

これを下手の視点から考えれば、初形状態での駒得にものを言わせ、(1)「ゆっくりした流れにして駒得が活きる展開にする」のがまずひとつ。しかしそれは、上手にとってもある意味望むところなので、もうひとつの選択として、上手の戦力不足を咎め、(2)「上手に駒を活用する余裕も与えない速攻で食い破る」という路線も出るでしょう。

六枚落ちおよび四枚落ちの定跡は(2)であることが多いですね。二枚落ちくらいになると、さすがに戦力差で簡単に押し切れるほど単純では無くなるので、定跡も(1)のタイプになっているように思います。

本譜も、下手は居玉のまま速攻を仕掛けました。

△6二金 ▲1六歩 △7四歩 ▲1五歩 △3二金 ▲1八飛
△2四歩 ▲1四歩 △2三金 ▲1三歩成 △同 金 ▲2六歩
△1四歩 ▲2八飛 △2三金 ▲3八銀 △2二銀 ▲2七銀
△3四歩 ▲7六歩 △5四歩 ▲3六銀 △3三桂 ▲1七桂
△4四歩

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この歩突き、▲同角でタダですし、本譜もそう進むのですが、なぜこんなタダで取られる歩を突いたのでしょうか。

想像ですが、あえて角で取らせることで一手稼いだのかなと。

本来なら、△5三金とでもしてから△4四歩としたいところだと思います。ただ、そうすると、下手が本譜と同じように攻めてくると仮定して、△5三金▲2五歩△1三銀▲2四歩△同銀▲2五桂△4四歩となって、変化図1。

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これに対して、本譜では△4四歩をあえて取らせることで…

▲同 角 △4二玉 ▲7七角 △5三金 ▲2五歩 △1三銀
▲2四歩 △同 銀 ▲2五桂 △4四歩

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変化図1と第2図を比べると、△4二玉の1手が余分に指せていることがわかります。

もっとも、上手はこれで一歩損でしかも歩切れのため、この後かなり綱渡りな受けを強いられます。正直、変化図1と第2図、どちらが良いのかと言われると微妙な気がします。

▲3三桂成 △同 金 ▲1六桂 △3五歩 ▲2五銀 △同 銀
▲同 飛

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このあたりが△4四歩の是非の収束点でしょうか。ここで上手に歩があれば△2三歩で一息つけます。本譜は歩切れのため、上手は文字通りの顔面受けを強いられます。

△3二玉 ▲2一銀 △3一玉 ▲1二銀成 △2三銀 ▲1三成銀
△3二玉 ▲9五角

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この角出はなんなのでしょう。ソフトの検討でも、この手が最善らしいですが…

▲5一角成を防ぐためには持駒の桂を投入するしか無く、桂の投入を強要するという意味しか想像できませんが、実際本譜のように△8四桂と打たれてみるとなんとなくぼやけてしまいますし、いつでも△7六桂と跳ねる機会を手順に与えてしまったのもちょっと気になる。角の働きもイマイチに見えます。私の感覚では感触が良くない手ですけども…

△8四桂 ▲2二歩 △3四銀 ▲2六飛 △1五歩 ▲2一歩成
△4三玉 ▲2二と

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第5図は2一のと金を2二に引いた局面ですが、なぜ▲2二飛成と行かなかったのでしょう? 下手はスピード重視の戦略を選んだのですから、ここも迷わず飛成で突っ込むところだと思いますが…

△5五歩 ▲2三と △同 金 ▲同成銀 △2五歩 ▲3三金
△5四玉 ▲2八飛 △3六歩

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銀取りを無視しての歩の突き出し。上手は既に金損してますが、さらに銀損を甘受しても、と金に望みをつなごうということですか。

駒損を避けようと思えば、この手に変わって△2三銀とするところでしょうが(変化図2)、確かにさらなる駒損は避けられても、上手の左銀は2三というそっぽへ行ってしまった上に質駒となり、さらには下手陣へ攻めのとっかかりも完全になくなってしまいますね。

2018-08-28h.png

これでは下手陣に嫌みの付けようも無いので、△3六歩はやむを得ないところでしょうかね。

このあたりは複雑な局面なようでソフトよっても評価が分かれます。Androidの技巧2は△3六歩を支持しますが、PCの浮かむ瀬は△3六歩をあまり評価せず、△4五銀や△2三銀を推してきます。

時間を稼ぐという戦略に乗っ取るなら、ここはひとまず駒損を避けて△4五銀とする手から考えてみたいですね。

▲3四金 △3七歩成 ▲2五飛 △4七と ▲6六銀 △6四歩
▲1五飛 △1四歩 ▲5五飛 △6三玉 ▲6八玉 △6二銀
▲3三成銀 △7三桂 ▲4三歩

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上手陣はかなり戦力を削られつつも、右翼の銀桂が動き出して、ようやく全軍躍動を果たしたというところですが、さすがにこの戦力差はいかんともしがたいところなはず。

ここで下手のこの垂れ歩が緩手で、形勢を損ねる一因となったもよう。

ソフトによるとここはスピード重視の▲4三金または遊んでいる角を活用する▲8六角が正着らしいです。なお、同じようでも▲4三金を▲4三成銀は、△同金▲同金△5四銀で紛れが生じます。

△6五歩 ▲7七銀 △7五歩 ▲4二歩成 △8五桂

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上手には△6五歩~△8五桂の勝負手があり、そうなると打たされたかたちの8四桂まで光り輝いてきます。なので、第7図の局面では急ぐ必要があったのでしょうね。

▲5二と △7七桂成 ▲同 角 △7六桂 ▲7八玉 △5二金
▲4四金 △5三歩 ▲6五飛 △7四玉 ▲2五飛 △5七と
▲5八歩 △5六と ▲2二飛成 △6六歩 ▲同 角 △同 と
▲同 歩 △6三金 ▲7七歩 △5五銀 ▲2四龍 △5六角
▲6七桂 △6六銀 ▲7六歩 △6七角成 ▲8八玉 △7六歩
▲7八歩 △3四歩 ▲6八歩 △5六馬 ▲3四成銀 △6四金
▲2二龍 △6一歩

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地味なようでもかなり有効な底歩。この歩を打たない後、6二の銀が取られるまで1手ですが、この歩を打つことによって5二龍、6一龍、6二龍と3手が必要になります。下手の攻撃を2手遅らせ、上手は△6一歩の1手を入れているので、差し引き1手をこの底歩で稼いでいる計算になりますか。

▲5二龍 △7五桂 ▲5七桂

2018-08-28l.png

初見ではよくわからない桂打ちでしたが、△6五馬と引かれるとほとんど受けが利かなくなるので、それを受けたということですね。

△7七歩成 ▲同 歩 △8七桂成 ▲同 玉 △8九馬 ▲6一龍
△7五金 ▲7二龍 △7三歩 ▲9五桂 △9九馬 ▲8三龍
△6三玉 ▲9六玉 △8五歩 ▲8七歩 △7七馬
まで145手で上手の勝ち

2018-08-28m.png

投了図。

以下、棋譜です。
 
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点と線

自分が今まで主にやってきた訓練法と言えば、詰将棋であり、次の一手であり、必死問題であり…なわけです。

これらの訓練法の有効性を否定するつもりは毛頭ありませんが、最近、これらの訓練法だけでは致命的な欠陥があるのではと思うようになりました。

なぜなら、これらの訓練法は全て「点」であるからです。

将棋のある瞬間をスナップのように切り出して、その局面だけを捕らえて最善手を探すものなわけです。

しかし、一局の将棋には「流れ」というものがあって、そんな問題集に登場するような絶妙手が決まる局面など、実戦でそんなに遭遇するわけではありません。むしろ、そんな絶妙手など潜んでいない地味な瞬間の方が間違いなく多いはずなんです。

そういう一局の大部分を占める「普通の局面」で、間違った手を選ばない能力というものが必要なはずなんです。

今までやってきた問題集系中心の訓練は、そのあたりにアプローチできているとは思えない。点の数は問題集系でいくらでも増やすことができる。しかし、それらの点をつなぐ「線」がないので、実戦で有効に使いこなせてない、またはそんな場面が訪れる前に将棋が終わっているのではないか。

昨年末から棋譜並べ中心の訓練に変えましたが、一局の中の絶妙手を味わうような見方であり、結局は点の訓練になっていたように思います(当ブログの過去の棋譜並べ記事を読み返してもそれは明らかですね)。

その点と点をつなぐ線の正体は何かと言えば、やはり「大局観」なのでしょう。

これまでも、大局観の意識が無かったわけではありません。しかし、普通の局面をどう判断して、どう方針を立てるのか。この肝心な部分を、きちんと系統立てて解説できている棋書や情報に、正直今までお目にかかったことがありませんでした。なので、一局の将棋を、大局観を意識しながら鑑賞・検討するということが、なかなかできなかった。

が、ようやく見つけました。こちらのブログ記事

形勢判断のしかたから、それに基づく方針の立て方まで、かなり具体的に書かれています。私が求めていた情報の多くが詰まっていて、とても参考になります。

どうしてこういう情報がきちんとまとめられた棋書が無いのでしょうかね(もし私が知らないだけなら、教えて欲しいです)。

今後の訓練としては、棋譜並べ中心なのはそのままで、棋譜や自戦を吟味する際に、上記サイトなどを参考にして、「流れ」を徹底的に意識してやってみようと思ってます。

[愚痴注意]東急将棋祭りに参戦

8月13日、14日に東急将棋祭りが札幌東急百貨店で開催され、13日だけ参戦してきましたが…

正直、もう少し運営面なんとかならんの?とかなりモヤモヤを抱えることになりました。

お目当ては来場者大会で、娘二人と開店30分前から並んでいたわけです。当然ですが、店舗入り口は1階。しかし、会場は9階です。

で、実は来場者大会の申し込みは「先着順」なんですね。しかも定員がある。これがちょっとね…

まず、店舗に入り口は二カ所あり、もう一方の入り口の方がエスカレーターに近い。ここでまず格差が出る。まあ、これは下調べが足りないと言われればそれまでですが、せめて何らかの案内でも掲示してあれば…と思わざるを得ません。

そしていざ開店となると、店員が「走らないでください」と注意しているにもかかわらず、走る奴がいるわけですよ。

そんな状況で、受付が定員ありの先着順ってどうなの? 正直者がバカを見る典型じゃないですか。

実際、娘達はギリギリ滑り込めましたが、私は定員に間に合いませんでした。

入り口のところで整理券を配るとか、やりようはあると思うんですけどね…

それなら指導対局に希望を託すかと思って申し込もうとしたら…「段持ちは申し込めません」とか書いてあるわけですよ。事前の案内に書いておけよっていうのもありますが、地方在住者にとってプロの指導を受ける機会は貴重なのです。段持ちってだけでその貴重な機会を奪われるのは納得がいかないです。実際、この地区では指導対局のイベントはあっても、子供限定とか級位者限定とかが多くて嫌になります。

なんかもう、色々とバカバカしくなって、娘達が指導対局に落選したのを確認して早々に撤収しました。14日は私一人で参戦するつもりだったのですが、とりやめました。夏期休暇中に色々出かけてて、少し体を休めたかったのもありますが。

来年以降も、少なくとも来場者大会を目当てに参加することはないでしょうね。娘達が連れて行けと言うなら別ですが。

余談ですが、小学生部門の来場者大会に参加した娘達の成績は、長女が初戦負け、次女が二回戦負けでした。

[棋譜並べ(ダイジェスト)]羽生善治vs森内俊之 1988/11/4

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

今回題材として取り上げたのは、1988年11月4日の、第19期新人王戦三番勝負第2局、羽生善治五段vs森内俊之四段の対局です。

下記書籍の、最初に掲載されているものです。

羽生VS森内百番指し
羽生 善治 森内 俊之
4839937613

プロの棋譜を題材にするわけですけど、いつものように棋譜を全て載せると色々とアレがアレでアレなので、棋譜は掲載せず、要所の局面を紹介する程度に留めます。

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戦型は、今やプロでは絶滅危惧種となってしまった相矢倉。その中でも森下システムと呼ばれる形ですね。上の局面は、後手が6筋に飛車を展開し、6四の地点で角交換を行ったところ。

ここで、本譜はじっと▲9六歩。

ぱっと見、△6五歩と打たれるのが怖いので、▲6五歩から考えたくなりますが、それは△6五同桂とされるとあまり防御となっていない。歩を損しただけであまり有効性が見えない。なのでプロはこんな手はハナっから考えないらしい。解説には▲6五歩はかけらほども触れられてませんでした。

▲9六歩の意味は解説されてましたが、あまりに意味深長でとても私には真似できない。

▲9六歩は△9四歩と受けた場合▲7二角が狙いで、△6五歩▲5七銀△7五歩▲8三角成と進んだときに(変化図1)、△9四角と合わせる手が消えているため、先手優勢だと。

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なので△9四歩とは受けづらいが、これが突けないなら後手に先に攻めさせても、後々この端の一手が必ず活きてくるだろうと。

うーん、深すぎる。まあ先手陣は右桂も跳ね出せている状態で、駒さえ入れば反撃ができそうな形が既にできているので、こういう考え方ができるということなんですかね。

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この▲4五歩は「味の良い」と思っていたらしい。実際は直前の▲6八飛が逸機の悪手だが、▲4五歩で指せると見ていたと。

この手について詳しく解説はされてませんが、次に▲4四歩の取り込みが厳しい? ▲4四歩を△同金なら▲5三銀が決まってしまうので△4二金引でしょうが、▲4三銀とロコツに金を剥がして行ければ確かに先手が良さそう。とはいえ、これを取っても▲4四歩と叩かれて同じなので、後手はこれを放置して△2五銀~△6九銀の反撃。

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ノータイムで打ったこの角が悪手で、正しくは▲3三歩だったと。△3三同玉なら▲5一角、△3三同金から▲7五角、△3三同桂でも▲7五角で決まっていたというが、同玉、同金はまだしも△同桂で▲7五角で決まっているという理屈が正直よくわかりません。

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初見時では全く意味のわからなかった玉上がり。数回並べてみてやっと気づいたわけですが、なるほど、入玉を視野に入れた手だったわけですね。後手の玉頭方面は後手の飛車と馬が居座っていて手厚い。先手玉も入玉ルートはありそうですが、相入玉になれば大駒四枚を手中にする後手の勝ちがほぼ確定する。

なので先手はなんとしても入玉を阻止しないといけないわけですが、その指し回しがまた圧巻でした。

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これこそ初見時には全く意味不明だった歩打ちですが、実は後手玉の入玉を阻止する足がかりでした。16手後には…

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たった一枚の歩を足がかりに後手玉上部に分厚い壁を作り上げ、入玉を阻止。途中、後手に疑問手(=敗着)が出た面もありますが、見習いたい指し回し。

この後は、先手の羽生五段が着実に寄せ切って、153手で勝利しました。

最近の棋譜並べ

後々に振り返るために、今現在、主要な訓練法として採用している棋譜並べについて記しておきます。

以前も紹介した『「ピリ将」ピリっ娘が将棋倶楽部24で初段になる50の方法』で推奨されている30回反復法をベースに、多少追加を入れて今は1局につきこんな感じでやってます。

  1. 先手で10回、後手で10回並べる。
  2. ここまでで、諳譜(棋譜を暗記する)ができているか確認。先手および後手で、手が止まること無くスムーズに並ばない場合は、できるようになるまで繰り返す。
  3. 諳譜ができたら高速で並べる。先後5回ずつ。100手以内なら2分、100手以上なら3分以内が目安。
  4. 脳内で並べる。先後5回ずつ。
  5. 将棋ソフトで先後1回ずつ、今度は自分なりの検討を重ねながらじっくり並べる。ポイントや疑問はソフトの意見を聞きながら整理しておく。
  6. 最後に、棋譜の解説があれば、ひととおり観る。

つまり最低でも1局につき42回は並べていることになりますね。

こうして書くと、かなり大変なことをやっているように見えるかもしれませんが、やっている本人はさほど重荷には感じてなかったりします。

頭を使うのは4以降の行程だけで、それより前は機械的にこなすだけですしね。むしろ早く次の棋譜を並べたいという欲求を抑えるのが大変で(笑)

だいたい1~3までの間に、その棋譜に対する自分なりのポイントというものが、おぼろげに浮かび上がってきます。それを5や6で回収していくイメージ。4は読みを鍛えるためのオマケみたいな位置づけかな。

この形に落ち着いたのは割と最近ですが、ベースとなっている30回並べ自体は、昨年の11月から始めています。

成果はというと…

始めた当初、将棋クエストで1600ギリギリだったレートが、今は1700台前半ですから、間違いなく成果は出ていると言っていいのでしょう。最近将棋ウォーズはやってませんし、将棋倶楽部24はイマイチ伸びが鈍い気はしますが、一応最高レートは更新してますし。

ところどころで、棋譜並べで学んだ指し筋が指せてるなと自覚できることもありますし、ちゃんと身についているのだと実感できます。

一方、並べている棋譜ですが、2月くらいまではプロの棋譜を並べていましたが、それ以降は天野宗歩の棋譜中心にシフトチェンジしてます。

これは、大元の『ピリ将』さんでも天野宗歩を推奨していることと、アマチュア強豪の中にも天野宗歩を推す人がいるということで、とりあえず乗ってみてます。私レベルでも比較的わかりやすい棋譜なのは確かで、プロの将棋に比べると納得感が多く得られてます。

天野宗歩を全体の5割とし、残りをYouTuberのアユムさんと、プロの棋譜で半々、という感じにしています。

アマチュアの棋譜を何故取り入れたかというと、アマチュアではよく見かけてもプロではまず出てこないような戦型を学ぶためですね。それに、やはりプロほどの複雑な手の殺し合いが無いので、手筋がビシッと決まる場面が多くて、わかりやすいのも良いです。YouTuberの中でもアユムさんは解説もわかりやすいですし、いろいろな戦型を指してくれるのがいい。多くの強豪YouTuberは、3切れとか10秒将棋の動画がほとんどな中、10切れの動画が多いのもよいですね。

以上、長々と語ってきましたが、身についている実感もあるし、実際に結果も出ていますので、今後もこの棋譜並べは私の訓練の中心としていくことになるでしょう。

次女昇級

密かにプロフィールの方は更新済みですが、次女は8月付けで10級に昇級しました。

長女から遅れること2ヶ月での昇級だったわけですが、長女は11級に留まること2年以上だったのに対し、次女は11ヶ月。長女がいかに苦戦したかが改めて伺いしれます。

小二での10級は、まあ悪い方ではないでしょう。

二人ともリーグ戦の成績も徐々に上向いているようですし、このまますんなり2桁級を卒業してほしいところですね。

[棋譜並べ]YouTube実況 アユム五段vsX四段 横歩取り△3三角

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

※掲載にあたって、YouTubeチャンネル「元奨励会員アユムの将棋実況」のアユムさんより許諾をいただいてます。

今回は「元奨励会員アユムの将棋実況」の動画より、「横歩取りにおいて隙あらば狙うべき一石三鳥必修の角打ち! 10分切れ負け将棋ウォーズ実況」の動画を題材として取り上げます。

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7八金 △3二金 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲3四飛 △3三角 ▲3六飛

2018-08-05a

私はだいたいウォーズで言うと2級くらいの頃から、普通の横歩取り△3三角型に対する苦手意識がどうにも拭えず、徹底的にこの戦型は避けるようにしていました。具体的には、先手番だと青野流、後手番だと相横歩取りに持ち込むということをしてたんですね。

それは今に至ってなお続いているわけですが、ここからさらに上を目指すなら、避けて通ることはできないだろうということで、まずはアユムさん動画から横歩取りの動画を選んで並べてみたというわけですね。

というわけで、△3三角に対して▲3六飛と引く、横歩取り△3三角型のオーソドックスなオープニングです。

△5二玉 ▲2六飛 △2二銀 ▲5六飛

2018-08-05b.png

すべてがそうだというわけではないのでしょうが、横歩取りにおける狙い筋の一つにやはり中住まい玉に対する中央突破というのがあるようです。

青野流とかだともっとロコツに両桂を中央に跳ね出して玉頭を狙う、みたいな指し方になりますが(青野流はそれだけじゃないということは知ってます。あくまで私の場合です)、本局も5筋近辺を巡る攻防が一つのポイントになっているようです。

△5二玉 ▲2六飛 △2二銀 ▲5六飛 △6二銀 ▲3八金
△7二金 ▲5八玉 △6四歩 ▲8七歩 △8二飛 ▲7五歩

2018-08-05c.png

6三銀、7三桂が中住まい玉の一つの理想形ということで、それを阻止しつつ飛車の横利きを通すいかにも味の良さそうな突き越し。

△6三銀 ▲3六歩 △8八角成 ▲同 銀 △3三銀 ▲3五歩
△4四銀 ▲3四歩 △6五歩 ▲7七桂

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△6五歩は次に飛車を浮いて横に使っていこうという手ですが、この▲7七桂がその歩を狙って調子よい。

△8四飛 ▲2六飛 △2三歩 ▲3七桂 △5四飛 ▲4八銀
△3五銀 ▲8六飛 △8三歩 ▲6五桂 △3四飛

2018-08-05e.png

既に先手はいわゆる「天使の跳躍」が実現できる体勢になっているわけですが、本譜で先手はなぜか▲4五桂ではなく▲7四歩を選択。

これを△同飛と取られ、単に歩損したばかりか7八の金に当たる先手になってしまいました。私レベルから見ると「ポカやらかしたか?」って首をかしげたくなる手なのですが、ソフト的にはあり得る手らしい。4つの候補の3番目くらには表示されていて、少なくとも悪手というほどのものではないらしい。

ここで後手を引いてまで歩を突き捨てる意図が私にはサッパリわかりませんけども…

▲7四歩 △同 飛 ▲7七銀 △4四銀 ▲3六飛 △3五歩
▲5六飛 △5四角

2018-08-05f.png

これが、動画タイトルにある「一石三鳥の角打ち」。動画解説によれば、玉頭への飛車の効きを緩和しながら、相手の両桂の跳躍をも抑制できる急所の角打ちとのこと。

横歩取りにおいては、通常筋悪であることが多い筋違い角や端角が好手となることが多い、とも。

そういえば、第5図でソフトが示した先手の最善手も▲5六角でした。飛車の逃げ場所によっては、▲5三桂成~▲8三角成の強襲も発生しますし、確かに味が良さそうですね。

他にも端攻めとからめて今日を一つつり上げてそれに当てて筋違い角を打つ、なんて手筋も横歩取りの定番ですしね。

頭に留めておいて損は無さそうです。

▲2二歩 △6五角 ▲6六飛 △5四角 ▲2一歩成 △3六歩
▲2五桂 △8五桂 ▲7五歩 △同 飛 ▲6四桂

2018-08-05h.png

直前の飛先のタタキはこの桂を打つためのモノだったわけですが、よく見ると2五の桂に当たっています。タタキを取らせてからこの桂打ちまでほぼノータイムだったので、承知の上での強攻だったのでしょうが…

△同 銀 ▲同 飛 △6三歩 ▲5四飛 △7七桂成 ▲4四飛
△7八成桂

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△6三歩に対して穏やかに飛車を引いていると、△7七桂成から金銀を剥がされつつ2五の桂を切り取られて切れ筋になりそうなので、先手は本譜の通り指すしか無いのでしょうが、この△7八成桂が悪手だったと。普通に△4四歩と飛車を切り取っていれば必勝だったと。

▲3四飛 △4一銀 ▲3三桂成

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▲3四飛をアユムさんは「うっかりしていた」と。金取りの先手になっているため△4一銀の受けはしかたの無いところですが、この先手の▲3三桂成がまた悪手で、再逆転したらしい。

アユムさんによれば、後手からは△7七飛成~△6八成桂くらいしか攻め手が無いので、▲8六角ないし▲6六角と飛成を受けておけば問題なかったと。ソフトの候補手に▲8六角はありますが、形勢は互角ですね。決め手となるほどの手ではないとの評価らしい。

素人目には△2五飛と桂を抜かれる手が怖く写るのですが、いったん飛車を追ってから▲3一となどがあるため、まだこれからということらしいです。

でも、正直▲8六角は今の自分の実力では指せない手ですね…候補に挙げられても選ばないと思う。

△7七飛成 ▲4九玉 △6八成桂 ▲3九玉 △7九龍 ▲2八玉
△2六桂 ▲3九金 △同 龍
まで88手で後手の勝ち

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今回のポイント:横歩取りでは5六、5四などの筋違い角を意識する。

以下、棋譜です。

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大局観が歪んでる

最近、解説付きの棋譜を並べてみたり、ブログにアップした自戦譜や棋譜並べにいただいているコメントなどを拝見して思うのは、「大局観が歪んでる」ということですね。いや、最近と言うよりかなり以前から感じていたことではありますが。

自分の局面判断は大抵強い人たちや棋譜の解説と一致しない。大局観の根幹をなすのは形勢判断なワケですが、形勢判断の基準となる四要素(損得、効率、堅さ、手番)の評価のしかたがどうにもズレている。損得や手番についてはほぼ機械的に出るので、うっかりしない限り間違えようがないのですが、効率や堅さについては主観的なところもあり、自分と強い人たちの間に乖離が目立つのです。

かといって、大局観を学ぶ方法って、極めて限定されるんですよね。

大局観を学ぶ棋書、というのはそもそも非常に少ない。羽生先生の「上達するヒント」という本が大局観について書かれた名著との評判ですが、私の求めているモノとは微妙に違っています。

上達するヒント (最強将棋レクチャーブックス(3))
羽生 善治
4861370086

むしろ、最近買ったこの本が私が求めているモノに近い。

勝てる将棋の考え方 新・イメージと読みの将棋観
渡辺 明、 郷田 真隆 森内 俊之 加藤 一二三 三浦 弘行 鈴木 大介 豊島 将之 中村 太地 永瀬 拓矢
4839961107

羽生本は大局観についての基本的な考え方について述べたものと理解しており、それはそれで大切なのは間違いないのですが、じゃあそれを実際の局面にどう当てはめて考えるのかというと、羽生本だけではなかなか難しい。やはり実例を交えて学びたい。

しばらく両者を交互に読みながら自分の中の大局観を少しずつでも是正して行こうかなと。

あとはやはり棋譜並べですね。大局観を是正するためには、やはりプロの解説付き棋譜を並べるべき。というわけで、かなり前に買ったはいいもののあまり活用できていなかった以下の本に再登板してもらおうかと。

羽生VS森内百番指し
羽生 善治 森内 俊之
4839937613

現在棋譜並べは、天野宗歩2、アマチュア強豪1、プロ1の比率で並べてますが、このプロ1に上記の本を入れることにしてみます。

本当は、師事できるような強い人が身近に居れば、実際に教わりながら対局するのが一番早いんだと思いますが、あいにくと私にはそのような人はいませんので…