不惑オヤジ(と娘)の将棋な日々

アラフォー親父と小学生娘の悪戦苦闘の記録

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[棋譜並べ]YouTube実況 X二段vsアユム五段 後手ツノ銀雁木

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

※掲載にあたって、YouTubeチャンネル「元奨励会員アユムの将棋実況」のアユムさんより許諾をいただいてます。

今回は「元奨励会員アユムの将棋実況」の動画より、『プロ採用率No1の「ツノ銀雁木」を出来るだけ分かりやすく解説しながら10分切れ負け将棋ウォーズ実況』を題材として取り上げます。

まったく、ちょっとプロの世界で雁木が流行りだしたらアマチュアまで猫も杓子も雁木雁木ガンギ…私は矢倉はそんなに好きではありませんが、ここ一年くらい矢倉の将棋なんてすっかり駆逐されてしまいましたね。矢倉をやることがあるのは、将棋センターで年配の方と指すときくらいですわ。

私はへそ曲がりでして、昔から流行り物には反発したくなりタチなんですよ。だから雁木なんて自分ではやらないし、やられるのも忌々しい(逆恨み含む)。でもこれだけ流行るとさすがに無策ではいられない。そんなわけで、何かしら対雁木のヒントみたいなモノが得られれば…と思ってのチョイスだったわけですが…

そんなわけで本局は、後手のアユムさんが「ツノ銀雁木」を採用。

▲2六歩 △3四歩 ▲4八銀 △4四歩 ▲6八玉 △3二銀
▲5六歩 △4三銀 ▲7八玉 △3二金 ▲6八銀 △4一玉
▲7六歩 △6二銀 ▲7七銀

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この銀上がりは「危ない形とされている」のだそうですが、それが何故かは結局わからずじまい。この銀上がりの目的はどうやら引き角から使っていこうというのが目的のようですが…

アユムさんはこの銀上がりがなぜ危ないのかを実戦で示そうしていましたが、先手が予想外の構想を見せてきたため軌道修正を余儀なくされたようです。

△7四歩 ▲7九角 △6四歩 ▲5八金右 △6三銀 ▲6六歩
△5二金 ▲6七金 △5四銀右 ▲2五歩 △1四歩 ▲3六歩
△4五歩 ▲8八玉

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アユムさんはツノ銀雁木の利点を

  • 歩越し銀ながら攻守にバランスがいい
  • 6筋(後手なら4筋)の位が安定しやすい
  • 右四間飛車との相性がいい

といったあたりを挙げてました。私は雁木対策については正直全くと言っていいほど知らないのですが、あるサイトでは右四間飛車での対抗が有力とありました。なるほど、6筋で位負けしないためには一理ある作戦かもしれません。

さて、先手は矢倉の完成を急ぐ▲8八玉。正直、これには驚きました。

居角の雁木に対してまともに矢倉に囲うなんて、居飛車の将棋でやっちゃいけないことのトップ5くらいに入りそうな悪手だと思うんですが、さすがに二段の方だけにそのあたりはわかっていたようで、その先を用意してはいました。ただ…

△7三桂 ▲9八玉 △9四歩 ▲3五歩 △同 歩 ▲同 角
△9五歩 ▲7八金

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端玉。それが先手の用意だったようです。ただ…アユムさんも驚いてましたが、さすがにどうなんでしょうか。

私は一時期、対振り飛車で天守閣美濃から端玉銀冠に囲うのを愛用していたことがありますが、あれは8七に銀が座っているからこそ端玉でも比較的安定するわけで。単に矢倉囲いから一路遠ざかっただけのこれでは「端玉には端歩」の格好の餌食ではないかと思ったら、まさにそういう方向に進んでいきました。

△8四歩 ▲3七銀 △8五桂 ▲8八銀 △9六歩 ▲同 歩
△9七歩 ▲同 桂 △9六香 ▲9四歩 △9二飛 ▲8六歩
△9四飛 ▲8五歩 △9七香成 ▲同 銀 △8六桂 ▲8七玉
△7八桂成 ▲同 玉 △6五歩

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端から執拗に崩されて先手の矢倉は早くも瓦解。さらに角筋を活かした後手の攻めが執拗に続く状況です。

ここで形勢判断をすると…

損得:微妙に先手?(桂香と金の交換)
効率:後手。後手はあえて遊んでる駒を挙げるとするなら9四の飛車くらいだが、先手は9七銀、9九香、3七銀と明らかにボヤけた駒が多すぎる。
堅さ:言うまでもなく後手。
手番:先手

手番を握っているのは先手ですが、終盤戦になっているのは先手玉だけなので、手番はあまり大きな利点とはならない。効率と堅さで既に大差がついているといえる局面かもしれません。

囲いをバラバラにされたのも、3七の銀が立ち後れているのも端玉を咎められたことに端を発しているので、やはり端玉の構想には無理があったということなのでしょう。

先手がここから少しでも粘るとするなら、わずかに勝っている駒得で時間を稼ぎながら、少しずつ後手陣の金銀を崩しいくくらいでしょうか。

後手の攻めの要は角のラインなので、まずは▲5五桂と、角道を止めながら囲いにちょっかいを出すような手を入れてみたいところですかね。

ちなみにアユムさんによると、部分的な雁木の崩し方として、引き角から▲2四歩△同歩▲2三歩△同金▲2四角という筋があるのだそうです。

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△同金なら▲同飛で飛先が受かりにくくなりますし(本譜の場合は後手に金があるので△3二金で受かりますが)、放っておけけば▲5一角成からの強襲もあるぞ、ってことですね。覚えておきましょうか…

▲9五歩 △同 飛 ▲9六香 △8五飛 ▲8六歩 △6六歩
▲8五歩 △6七歩成 ▲同 玉 △9九角成 ▲8一飛 △5一金打

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アユムさんが挙げる雁木のもう一つの利点は「飛車打ちに強い」。下段スカスカなのでぱっと見、いかにも飛車に弱そうなのですが、5一に駒が打てると安定するということらしいですね。

これ以降は後手の着実な寄せが続き、寄せ方に参考になる部分はありましたが、先手側はノーチャンスでした。

▲2四歩 △同 歩 ▲5八玉 △6一歩 ▲4八玉 △6六馬
▲3八玉 △3四香 ▲2四角 △3九金 ▲2七玉 △2三金
▲6八角 △2九金 ▲同 飛 △3七香成 ▲同 玉 △3六歩
▲同 玉 △4四桂 ▲2七玉 △4八馬 ▲3九香 △2六歩
▲1八玉 △2七銀 ▲同 飛 △同歩成 ▲同 玉 △3九馬
▲3七銀 △2六歩 ▲同 玉 △2五歩
まで104手で後手の勝ち

以下、棋譜です。

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[棋譜並べ]大橋宗珉vs天野宗歩 1845/7/1

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

今回取り上げるのは、1845年7月1日、大橋宗珉vs天野宗歩。手合いは平手です。

最近、宗歩の棋譜は駒落ちばかり並べてた気がしますが、これは別に意識して駒落ちを選んでいたわけでは無く、片っ端から選んでいたら駒落ちの棋譜ばかりが並んだというだけのことです。それほど、現存する宗歩の棋譜は平手が少ない。

駒落ちの棋譜からも学ぶものはありますが、やはり平手には平手の感覚というものもありますから、今後宗歩の棋譜については駒落ちと平手を半々で並べるようにしようと思います。

さて、相手の大橋宗珉ですが、この人、大橋分家の八代目という以外に詳しい情報が見つからないのですね。Google先生に尋ねると、大橋分家の当主でありながら、天野宗歩になかなか勝つことができず、とうとう神頼みに走った挙げ句、妻が狂死するとか壮絶なエピソードが出てきますが…。

▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩 ▲2五歩 △3二金
▲7七角 △3四歩 ▲8八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀
▲4八銀 △3三銀 ▲5六歩

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「角交換で5筋の歩は突くな」が現代に知られているひとつのセオリー。大きな理由はもちろん、△3九角のような馬作りの筋が生じてしまうから。しかし先手の宗珉は、そんなの知らんとばかりに▲5六歩。まあ、このセオリーが江戸時代にも存在したのかは知りませんが、少なくとも後手の宗歩は現代将棋の感覚に近い腰掛け銀に淡々と組んでいきます。

△6二銀 ▲5八金右 △6四歩 ▲6六歩 △6三銀 ▲6七金
△4四歩 ▲6八玉 △4二玉 ▲7八玉 △5二金 ▲3六歩
△3一玉 ▲6八金上 △2二玉 ▲1六歩 △9四歩 ▲9六歩
△5四銀 ▲1五歩 △7四歩 ▲2六飛

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この飛車浮きの意図がイマイチわからない。考えられるとすれば…

△7三桂 ▲5七銀 △6二飛 ▲4六歩 △6五歩 ▲3七桂
△4七角 ▲1六角

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先手は左桂を活用しようと思えば▲4六歩は突かざるを得ない。左銀を5七に上がる駒組みをするなら、4七に角を打ち込まれるのは当然考えなくてはいけないわけで。

その時に、飛車が2八だと△4七角からの角成を防ぐには▲1八角と投入するしか無い(▲2六飛は△3八角成)。

これを見越して37手目に2六飛と浮いた?

しかし本譜も結局△3八角成を防ぐために▲1六角と投入している。2八飛&1八角と2六飛&1六角のどちらが良い形なのか。

2八飛&1八角だと、6筋方面で銀交換が発生した際に、△1七銀が発生するのを気にしている?

本譜は、次に▲4八銀とすることができれば後手角が死んでしまいますので、後手はその前になんとかしないといけない。まあこの手順に踏み込むからには後手に用意の手があるのでしょうが。

△1四歩と角を攻め合うのは、▲4八銀、△1五歩▲2七角で一方的に角損しそう。

銀を引くいとまを与えないよう、宗歩は6筋から攻め立てますが、おそらくこれは△4七角と打ち込んだ時点で既定路線でしょう。

ひと目、1六角と打たされた形の先手が指しにくそうです。4七の角を取り切れないと後手がよくなりそうですが…

△6六歩 ▲同銀左 △6五銀 ▲3五歩

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後手の4七角は相変わらず窮屈で、仮に△6六銀と取り込まれても、▲同銀と普通に応じておいて角が楽になるわけじゃない。

なので、先には自分の角にサバキを付けておこうという意味の▲3五歩なのかと思いますが、普通に△同歩と返されても、次に△3六歩や△3六角成が生じて逆に先手が損しているように見えてしかたがない。

一応ソフト先生にも確認してみましたが、やはりここは△3五同歩が最善とのお答え。しかし、後手・宗歩はこれを取らず△4三金。ソフトでは次善手に挙げられている手です。

△3五同歩だと、▲3四歩のタタキから、後手の玉頭方面が騒がしくなるので、それを受けて立つなら△3五同歩、ちょっと穏やかに行きたいなら本譜△4三金という感じでしょうか。

△4三金右 ▲4五歩 △6六銀 ▲同 銀 △6五歩 ▲7七銀
△6六銀

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ここらで形勢判断をしてみましょうか。

損得:互角
効率:やや後手
玉の堅さ:やや後手
手番:先手

中盤なので重視すべきは効率なのですが、先手は飛角がどうにも窮屈に見える。後手の角も窮屈なのですが、後手の飛車は玉の小ビンへのスクラムを強く後押ししており、先手よりは働きが良さそうです。

なので先手としてはなんとか飛角のサバキに目処を付けたい。逆に後手としてはその前にイケイケで押し切りたい、というところでしょうか。

よって先手の次の一手は▲2四歩。

▲2四歩 △6七銀成 ▲同 金 △3六金 ▲2三歩成 △同 金
▲3一銀 △1二玉 ▲2三飛成 △同 玉 ▲4四歩 △同 金
▲2四歩 △同 銀 ▲4二銀打

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▲2二金までの詰めろと、▲5三銀不成の「たすきの銀」の両睨みの一手。

局面は既に終盤にさしかかっている感じですが、改めて形勢判断をすると…

損得:後手(飛車と銀の交換)
効率:微妙だが後手か。先手は1六角がまったく捌ける目処が立たないが、後手の3六金もちょっと酷い。ただ、この金はのちのち入玉将棋になった場合に働いてくる可能性もあり、先手の角よりはマシに見える。
堅さ:後手。堅さ自体は互角に近そうだが、腹ががら空きの状態で飛車を持たれている先手が苦しそう。
手番:先手。順番では後手だが、後手は詰めろを受けなければならない。

先手は手番を活かして次の▲5三銀不成で、駒損を回復できる目処は立つ。だが、その瞬間手番は後手に渡るため、他の三点で勝っているメリットを活かして一気呵成に攻めることになりそう。

△2二歩 ▲5三銀不成△6六歩 ▲同 銀 △同 飛 ▲同 金
△6九銀 ▲8八玉 △6八飛 ▲9七玉 △9五歩 ▲同 歩
△7八銀不成▲8八金 △8九銀成

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というわけで、やはり後手は▲5三銀不成のタイミングで6筋から飛車をもぶった切る総攻撃。やはり飛車打ちに弱い先手玉はあっという間に端へ追い込まれてしまいました。

で、この銀成。▲同金なら何かあるのかと思ったら、△9六歩▲同玉△8四桂以下詰むんですね。放っておいても△8八飛成から詰むので、先手は王手で迫って合駒請求したりして足掻きますが、及ばず。

▲2二銀成 △同 玉 ▲8二飛 △3二桂 ▲8九金 △6九角成
▲2三歩 △同 玉 ▲4四銀成 △8六銀
まで96手で後手の勝ち

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宗珉はやはり1六角を打たされてしまった時点で作戦負けっぽい将棋でしたか。お互い狭い角でしたが、終わってみれば後手の角は寄せに貢献し、先手の角はとうとう最後まで遊んだまま。

△4七角を打ち込んだ時点で、宗歩の構想力が勝っていたということでしょうか。

以下、棋譜です。

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[棋譜並べ]柳原長吉vs天野宗歩(四枚落ち) 1853/01/27

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

今回取り上げるのは、1853年1月27日に行われた、柳原長吉vs天野宗歩の四枚落ち戦です。

今回から、私なりに大局観的視点を意識して棋譜を眺めてみようと思ってますが、そもそも駒落ち戦の場合、最初から上手と下手には戦力差という明確な違いがあります。よって、ある意味初形の時点で、上手および下手が取り得る戦略の方向性というものがある程度決まってくるのではないかと考えてます。

初形の時点で、上手は駒損しているわけですから、形勢判断のセオリーに従えば基本的には急いで攻めたいはず。しかし、本譜のような四枚落ちのレベルだと、大駒が無いため早い攻めというのが物理的に難しい。よって、次善の策として、「全ての駒をまんべんなく活用するため、なるべく下手の攻めを遅らせて時間を稼ぐ」というのが基本戦略になるのかなぁ、と思います。ただでさえ戦力差があるのだから、せめて現有戦力を最大限に活かして抵抗しよう、ということですね。

これを下手の視点から考えれば、初形状態での駒得にものを言わせ、(1)「ゆっくりした流れにして駒得が活きる展開にする」のがまずひとつ。しかしそれは、上手にとってもある意味望むところなので、もうひとつの選択として、上手の戦力不足を咎め、(2)「上手に駒を活用する余裕も与えない速攻で食い破る」という路線も出るでしょう。

六枚落ちおよび四枚落ちの定跡は(2)であることが多いですね。二枚落ちくらいになると、さすがに戦力差で簡単に押し切れるほど単純では無くなるので、定跡も(1)のタイプになっているように思います。

本譜も、下手は居玉のまま速攻を仕掛けました。

△6二金 ▲1六歩 △7四歩 ▲1五歩 △3二金 ▲1八飛
△2四歩 ▲1四歩 △2三金 ▲1三歩成 △同 金 ▲2六歩
△1四歩 ▲2八飛 △2三金 ▲3八銀 △2二銀 ▲2七銀
△3四歩 ▲7六歩 △5四歩 ▲3六銀 △3三桂 ▲1七桂
△4四歩

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この歩突き、▲同角でタダですし、本譜もそう進むのですが、なぜこんなタダで取られる歩を突いたのでしょうか。

想像ですが、あえて角で取らせることで一手稼いだのかなと。

本来なら、△5三金とでもしてから△4四歩としたいところだと思います。ただ、そうすると、下手が本譜と同じように攻めてくると仮定して、△5三金▲2五歩△1三銀▲2四歩△同銀▲2五桂△4四歩となって、変化図1。

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これに対して、本譜では△4四歩をあえて取らせることで…

▲同 角 △4二玉 ▲7七角 △5三金 ▲2五歩 △1三銀
▲2四歩 △同 銀 ▲2五桂 △4四歩

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変化図1と第2図を比べると、△4二玉の1手が余分に指せていることがわかります。

もっとも、上手はこれで一歩損でしかも歩切れのため、この後かなり綱渡りな受けを強いられます。正直、変化図1と第2図、どちらが良いのかと言われると微妙な気がします。

▲3三桂成 △同 金 ▲1六桂 △3五歩 ▲2五銀 △同 銀
▲同 飛

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このあたりが△4四歩の是非の収束点でしょうか。ここで上手に歩があれば△2三歩で一息つけます。本譜は歩切れのため、上手は文字通りの顔面受けを強いられます。

△3二玉 ▲2一銀 △3一玉 ▲1二銀成 △2三銀 ▲1三成銀
△3二玉 ▲9五角

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この角出はなんなのでしょう。ソフトの検討でも、この手が最善らしいですが…

▲5一角成を防ぐためには持駒の桂を投入するしか無く、桂の投入を強要するという意味しか想像できませんが、実際本譜のように△8四桂と打たれてみるとなんとなくぼやけてしまいますし、いつでも△7六桂と跳ねる機会を手順に与えてしまったのもちょっと気になる。角の働きもイマイチに見えます。私の感覚では感触が良くない手ですけども…

△8四桂 ▲2二歩 △3四銀 ▲2六飛 △1五歩 ▲2一歩成
△4三玉 ▲2二と

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第5図は2一のと金を2二に引いた局面ですが、なぜ▲2二飛成と行かなかったのでしょう? 下手はスピード重視の戦略を選んだのですから、ここも迷わず飛成で突っ込むところだと思いますが…

△5五歩 ▲2三と △同 金 ▲同成銀 △2五歩 ▲3三金
△5四玉 ▲2八飛 △3六歩

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銀取りを無視しての歩の突き出し。上手は既に金損してますが、さらに銀損を甘受しても、と金に望みをつなごうということですか。

駒損を避けようと思えば、この手に変わって△2三銀とするところでしょうが(変化図2)、確かにさらなる駒損は避けられても、上手の左銀は2三というそっぽへ行ってしまった上に質駒となり、さらには下手陣へ攻めのとっかかりも完全になくなってしまいますね。

2018-08-28h.png

これでは下手陣に嫌みの付けようも無いので、△3六歩はやむを得ないところでしょうかね。

このあたりは複雑な局面なようでソフトよっても評価が分かれます。Androidの技巧2は△3六歩を支持しますが、PCの浮かむ瀬は△3六歩をあまり評価せず、△4五銀や△2三銀を推してきます。

時間を稼ぐという戦略に乗っ取るなら、ここはひとまず駒損を避けて△4五銀とする手から考えてみたいですね。

▲3四金 △3七歩成 ▲2五飛 △4七と ▲6六銀 △6四歩
▲1五飛 △1四歩 ▲5五飛 △6三玉 ▲6八玉 △6二銀
▲3三成銀 △7三桂 ▲4三歩

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上手陣はかなり戦力を削られつつも、右翼の銀桂が動き出して、ようやく全軍躍動を果たしたというところですが、さすがにこの戦力差はいかんともしがたいところなはず。

ここで下手のこの垂れ歩が緩手で、形勢を損ねる一因となったもよう。

ソフトによるとここはスピード重視の▲4三金または遊んでいる角を活用する▲8六角が正着らしいです。なお、同じようでも▲4三金を▲4三成銀は、△同金▲同金△5四銀で紛れが生じます。

△6五歩 ▲7七銀 △7五歩 ▲4二歩成 △8五桂

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上手には△6五歩~△8五桂の勝負手があり、そうなると打たされたかたちの8四桂まで光り輝いてきます。なので、第7図の局面では急ぐ必要があったのでしょうね。

▲5二と △7七桂成 ▲同 角 △7六桂 ▲7八玉 △5二金
▲4四金 △5三歩 ▲6五飛 △7四玉 ▲2五飛 △5七と
▲5八歩 △5六と ▲2二飛成 △6六歩 ▲同 角 △同 と
▲同 歩 △6三金 ▲7七歩 △5五銀 ▲2四龍 △5六角
▲6七桂 △6六銀 ▲7六歩 △6七角成 ▲8八玉 △7六歩
▲7八歩 △3四歩 ▲6八歩 △5六馬 ▲3四成銀 △6四金
▲2二龍 △6一歩

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地味なようでもかなり有効な底歩。この歩を打たない後、6二の銀が取られるまで1手ですが、この歩を打つことによって5二龍、6一龍、6二龍と3手が必要になります。下手の攻撃を2手遅らせ、上手は△6一歩の1手を入れているので、差し引き1手をこの底歩で稼いでいる計算になりますか。

▲5二龍 △7五桂 ▲5七桂

2018-08-28l.png

初見ではよくわからない桂打ちでしたが、△6五馬と引かれるとほとんど受けが利かなくなるので、それを受けたということですね。

△7七歩成 ▲同 歩 △8七桂成 ▲同 玉 △8九馬 ▲6一龍
△7五金 ▲7二龍 △7三歩 ▲9五桂 △9九馬 ▲8三龍
△6三玉 ▲9六玉 △8五歩 ▲8七歩 △7七馬
まで145手で上手の勝ち

2018-08-28m.png

投了図。

以下、棋譜です。
 
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[棋譜並べ(ダイジェスト)]羽生善治vs森内俊之 1988/11/4

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

今回題材として取り上げたのは、1988年11月4日の、第19期新人王戦三番勝負第2局、羽生善治五段vs森内俊之四段の対局です。

下記書籍の、最初に掲載されているものです。

羽生VS森内百番指し
羽生 善治 森内 俊之
4839937613

プロの棋譜を題材にするわけですけど、いつものように棋譜を全て載せると色々とアレがアレでアレなので、棋譜は掲載せず、要所の局面を紹介する程度に留めます。

2018-08-15a.png

戦型は、今やプロでは絶滅危惧種となってしまった相矢倉。その中でも森下システムと呼ばれる形ですね。上の局面は、後手が6筋に飛車を展開し、6四の地点で角交換を行ったところ。

ここで、本譜はじっと▲9六歩。

ぱっと見、△6五歩と打たれるのが怖いので、▲6五歩から考えたくなりますが、それは△6五同桂とされるとあまり防御となっていない。歩を損しただけであまり有効性が見えない。なのでプロはこんな手はハナっから考えないらしい。解説には▲6五歩はかけらほども触れられてませんでした。

▲9六歩の意味は解説されてましたが、あまりに意味深長でとても私には真似できない。

▲9六歩は△9四歩と受けた場合▲7二角が狙いで、△6五歩▲5七銀△7五歩▲8三角成と進んだときに(変化図1)、△9四角と合わせる手が消えているため、先手優勢だと。

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なので△9四歩とは受けづらいが、これが突けないなら後手に先に攻めさせても、後々この端の一手が必ず活きてくるだろうと。

うーん、深すぎる。まあ先手陣は右桂も跳ね出せている状態で、駒さえ入れば反撃ができそうな形が既にできているので、こういう考え方ができるということなんですかね。

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この▲4五歩は「味の良い」と思っていたらしい。実際は直前の▲6八飛が逸機の悪手だが、▲4五歩で指せると見ていたと。

この手について詳しく解説はされてませんが、次に▲4四歩の取り込みが厳しい? ▲4四歩を△同金なら▲5三銀が決まってしまうので△4二金引でしょうが、▲4三銀とロコツに金を剥がして行ければ確かに先手が良さそう。とはいえ、これを取っても▲4四歩と叩かれて同じなので、後手はこれを放置して△2五銀~△6九銀の反撃。

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ノータイムで打ったこの角が悪手で、正しくは▲3三歩だったと。△3三同玉なら▲5一角、△3三同金から▲7五角、△3三同桂でも▲7五角で決まっていたというが、同玉、同金はまだしも△同桂で▲7五角で決まっているという理屈が正直よくわかりません。

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初見時では全く意味のわからなかった玉上がり。数回並べてみてやっと気づいたわけですが、なるほど、入玉を視野に入れた手だったわけですね。後手の玉頭方面は後手の飛車と馬が居座っていて手厚い。先手玉も入玉ルートはありそうですが、相入玉になれば大駒四枚を手中にする後手の勝ちがほぼ確定する。

なので先手はなんとしても入玉を阻止しないといけないわけですが、その指し回しがまた圧巻でした。

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これこそ初見時には全く意味不明だった歩打ちですが、実は後手玉の入玉を阻止する足がかりでした。16手後には…

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たった一枚の歩を足がかりに後手玉上部に分厚い壁を作り上げ、入玉を阻止。途中、後手に疑問手(=敗着)が出た面もありますが、見習いたい指し回し。

この後は、先手の羽生五段が着実に寄せ切って、153手で勝利しました。

[棋譜並べ]YouTube実況 アユム五段vsX四段 横歩取り△3三角

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

※掲載にあたって、YouTubeチャンネル「元奨励会員アユムの将棋実況」のアユムさんより許諾をいただいてます。

今回は「元奨励会員アユムの将棋実況」の動画より、「横歩取りにおいて隙あらば狙うべき一石三鳥必修の角打ち! 10分切れ負け将棋ウォーズ実況」の動画を題材として取り上げます。

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7八金 △3二金 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲3四飛 △3三角 ▲3六飛

2018-08-05a

私はだいたいウォーズで言うと2級くらいの頃から、普通の横歩取り△3三角型に対する苦手意識がどうにも拭えず、徹底的にこの戦型は避けるようにしていました。具体的には、先手番だと青野流、後手番だと相横歩取りに持ち込むということをしてたんですね。

それは今に至ってなお続いているわけですが、ここからさらに上を目指すなら、避けて通ることはできないだろうということで、まずはアユムさん動画から横歩取りの動画を選んで並べてみたというわけですね。

というわけで、△3三角に対して▲3六飛と引く、横歩取り△3三角型のオーソドックスなオープニングです。

△5二玉 ▲2六飛 △2二銀 ▲5六飛

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すべてがそうだというわけではないのでしょうが、横歩取りにおける狙い筋の一つにやはり中住まい玉に対する中央突破というのがあるようです。

青野流とかだともっとロコツに両桂を中央に跳ね出して玉頭を狙う、みたいな指し方になりますが(青野流はそれだけじゃないということは知ってます。あくまで私の場合です)、本局も5筋近辺を巡る攻防が一つのポイントになっているようです。

△5二玉 ▲2六飛 △2二銀 ▲5六飛 △6二銀 ▲3八金
△7二金 ▲5八玉 △6四歩 ▲8七歩 △8二飛 ▲7五歩

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6三銀、7三桂が中住まい玉の一つの理想形ということで、それを阻止しつつ飛車の横利きを通すいかにも味の良さそうな突き越し。

△6三銀 ▲3六歩 △8八角成 ▲同 銀 △3三銀 ▲3五歩
△4四銀 ▲3四歩 △6五歩 ▲7七桂

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△6五歩は次に飛車を浮いて横に使っていこうという手ですが、この▲7七桂がその歩を狙って調子よい。

△8四飛 ▲2六飛 △2三歩 ▲3七桂 △5四飛 ▲4八銀
△3五銀 ▲8六飛 △8三歩 ▲6五桂 △3四飛

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既に先手はいわゆる「天使の跳躍」が実現できる体勢になっているわけですが、本譜で先手はなぜか▲4五桂ではなく▲7四歩を選択。

これを△同飛と取られ、単に歩損したばかりか7八の金に当たる先手になってしまいました。私レベルから見ると「ポカやらかしたか?」って首をかしげたくなる手なのですが、ソフト的にはあり得る手らしい。4つの候補の3番目くらには表示されていて、少なくとも悪手というほどのものではないらしい。

ここで後手を引いてまで歩を突き捨てる意図が私にはサッパリわかりませんけども…

▲7四歩 △同 飛 ▲7七銀 △4四銀 ▲3六飛 △3五歩
▲5六飛 △5四角

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これが、動画タイトルにある「一石三鳥の角打ち」。動画解説によれば、玉頭への飛車の効きを緩和しながら、相手の両桂の跳躍をも抑制できる急所の角打ちとのこと。

横歩取りにおいては、通常筋悪であることが多い筋違い角や端角が好手となることが多い、とも。

そういえば、第5図でソフトが示した先手の最善手も▲5六角でした。飛車の逃げ場所によっては、▲5三桂成~▲8三角成の強襲も発生しますし、確かに味が良さそうですね。

他にも端攻めとからめて今日を一つつり上げてそれに当てて筋違い角を打つ、なんて手筋も横歩取りの定番ですしね。

頭に留めておいて損は無さそうです。

▲2二歩 △6五角 ▲6六飛 △5四角 ▲2一歩成 △3六歩
▲2五桂 △8五桂 ▲7五歩 △同 飛 ▲6四桂

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直前の飛先のタタキはこの桂を打つためのモノだったわけですが、よく見ると2五の桂に当たっています。タタキを取らせてからこの桂打ちまでほぼノータイムだったので、承知の上での強攻だったのでしょうが…

△同 銀 ▲同 飛 △6三歩 ▲5四飛 △7七桂成 ▲4四飛
△7八成桂

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△6三歩に対して穏やかに飛車を引いていると、△7七桂成から金銀を剥がされつつ2五の桂を切り取られて切れ筋になりそうなので、先手は本譜の通り指すしか無いのでしょうが、この△7八成桂が悪手だったと。普通に△4四歩と飛車を切り取っていれば必勝だったと。

▲3四飛 △4一銀 ▲3三桂成

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▲3四飛をアユムさんは「うっかりしていた」と。金取りの先手になっているため△4一銀の受けはしかたの無いところですが、この先手の▲3三桂成がまた悪手で、再逆転したらしい。

アユムさんによれば、後手からは△7七飛成~△6八成桂くらいしか攻め手が無いので、▲8六角ないし▲6六角と飛成を受けておけば問題なかったと。ソフトの候補手に▲8六角はありますが、形勢は互角ですね。決め手となるほどの手ではないとの評価らしい。

素人目には△2五飛と桂を抜かれる手が怖く写るのですが、いったん飛車を追ってから▲3一となどがあるため、まだこれからということらしいです。

でも、正直▲8六角は今の自分の実力では指せない手ですね…候補に挙げられても選ばないと思う。

△7七飛成 ▲4九玉 △6八成桂 ▲3九玉 △7九龍 ▲2八玉
△2六桂 ▲3九金 △同 龍
まで88手で後手の勝ち

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今回のポイント:横歩取りでは5六、5四などの筋違い角を意識する。

以下、棋譜です。

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[棋譜並べ]九代大橋宗与vs天野宗歩(角落ち) 1853/05/14

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

今回取り上げるのは、1853年5月14日の、大橋宗与と天野宗歩の対局です。手合いは宗歩の角落ち。大橋宗与は大橋分家の九代目当主。それでも宗歩相手に平手で指せないのですね…。ちなみに宗与は明治に入ると獄中死し、大橋分家は断絶。最後の当主となってしまった人でもあるようです。

△6二銀 ▲7六歩 △5四歩 ▲5六歩 △8四歩 ▲7八銀
△6四歩 ▲3六歩 △5三銀 ▲4六歩 △8五歩 ▲7七角
△4二銀上 ▲2六歩 △7二金 ▲6六歩 △6三金 ▲6七銀
△7四金 ▲2五歩 △3二金 ▲7八飛

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宗与は最序盤から実に不思議な指し回しを展開。ひたすら歩を突き上げるだけでなかなか飛車を振らず、2筋を突き越して居飛車かと思いきや△3二金を上がらせて飛車を振る。なんか佐藤康光九段を連想してしまいます。

△6五歩 ▲5八金左 △6二飛 ▲6五歩 △同 飛 ▲3七桂

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なんともアクロバティックな受け。

それにしても宗与の変則的な指し回しの意図がここに至ってもいまいち見えません。居飛車をちらつかせることで、左金を右側へ活用できないようにする工夫ですかね。どう見ても伸びすぎに見える右辺をどう処置するのか。

△6二飛 ▲4八銀 △6四銀 ▲5七銀 △8四金

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善し悪しはよくわかりませんが、感覚的には見習いたい一手。一見そっぽへ行くようでも、歩越しの金を解消して△7四歩から落ち着いて攻めようという手ですね。下手からすぐに先端を開くような手が見当たらないので、ゆっくり体勢を整える余裕はあると見たのでしょうか。

▲6六角 △8二飛 ▲4五歩 △6五歩 ▲7七角 △4一玉
▲4八玉 △7四歩 ▲4六銀 △7五歩 ▲5五歩 △5三銀上
▲4四歩 △7六歩 ▲同 銀 △7二飛 ▲8八角 △4四歩
▲6七銀 △7五金 ▲5四歩 △同 銀 ▲4四角 △5三歩
▲5六銀 △7六歩 ▲5五銀右 △同銀右 ▲5三角成

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銀捨てからの強攻。しかも直後に△4三金で馬を殺されるも、金銀との二枚替え。

△4三金 ▲同 馬 △同 銀 ▲5五銀

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結果的には角金交換となりましたが、玉形を大きく乱したのでやれるという判断ですかね。上手の持駒に金もありませんし。実際ソフトの評価では+1200ほど下手に振れてます。

△5四歩 ▲4四歩

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最近、実戦でこういう歩が打てるようになって、結構勝ちを拾えている気がします。棋譜並べの成果が出ているということでしょうか。

△同 銀 ▲5四銀 △6六角 ▲3八玉 △9九角成 ▲5三歩
△3一玉 ▲4五歩 △5五銀 ▲5二歩成 △8九馬 ▲6二歩

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飛車取りを無視して上手の飛車の守備力をそぐ歩打ち。飛車を取られても金銀がある上、上手玉も広くないので勝てるという判断ですね。

△7八馬 ▲4一銀 △2二玉 ▲4二と △1四歩 ▲2四歩
△同 歩 ▲3二銀不成
まで88手で下手の勝ち

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ここで宗歩投了。手筋本に出てきそうな腹銀の連続で鮮やかな寄せ切り….

と言いたいところですが!!

なんとこの局面、ソフトの評価では「上手勝勢」です。△5六馬以下、上手の勝ちだと。

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△5六馬に対して▲4七金打以外は即詰み(手数はやや長めですが…)。ただ、▲4七金打でも、△4六桂▲2八玉△2七香▲同玉△2九飛▲2八香△4九飛成と進んで…

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こうなると持駒の金を使ってしまったので上手玉の詰めろは解けており、逆に下手玉は△3八龍からの詰めろで受けも難しい。

他、投了図の局面では△1二銀のように単純に詰めろを受けるような手でも上手が良い、という評価です。

では宗与のミスはどこだったのか…

…あらためてよく見ると、第7図直後の81手目の以下の局面…

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これ、△4二とから簡単な5手詰じゃあーりませんか

酷い、これが見えない宗与も、俺自身もちょっと酷すぎる orz。宗歩はどうなんだ?この詰みは見えていたのか? 見えていて舐めプしたのか? 忖度したのか?

色々モヤモヤが残る棋譜です…

以下、棋譜です。

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[棋譜並べ]YouTube実況 アユム五段vsX四段 居飛車vs端角中飛車

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

※掲載にあたって、YouTubeチャンネル「元奨励会員アユムの将棋実況」のアユムさんより許諾をいただいてます。

今回は「元奨励会員アユムの将棋実況」の動画より、『「粘り」のコツを解説しようとしたら端角中飛車に大苦戦してまさかの実演に(笑) 10分切れ負け将棋ウォーズ実況』の棋譜をご紹介いたします。

端角中飛車はウォーズ初段クラスでも結構出現頻度の高い戦法で、私も時々受け間違えてコテンパンに潰されてしまう、あまりいい思い出の無い戦法です。早石田なんかは、割とやってくるとありがたい戦法なんですが、端角中飛車はいまだに怖い。

初中級者レベルではわりと有力な戦法だと思うのですが、対策とかは本も出てないですし、プロの将棋には当然ながら登場することは皆無なので、勉強しようと思っても難しいものがあります。

でもアマチュア高段者の棋譜ならそれが学べちゃう。やはり、アマチュア強豪の棋譜を並べてみるというのは、有力な勉強法だと思います。

それでは、早速…

▲7六歩 △5四歩 ▲2六歩 △1四歩 ▲2五歩 △1三角
▲6八金

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対端角中飛車でよくあるハマリパターンが、普通に舟囲いに囲おうとして▲6八玉と上がった瞬間に端角の筋を活かして△5六歩と突かれるパターン。なので、なるほど、無理に舟囲いにはせず、6九→7八のルートで安全に囲おうということですか。

△5二飛 ▲6九玉 △5五歩 ▲2六飛

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△5五歩を許したのは「相手の主張を通しすぎた」とアユムさん。私はあえて5筋を受けずに位を取らせることも多いんですが、それでもやはり△5六歩からの歩交換は許しちゃいかんと、飛車浮き。

△6二玉 ▲7八玉 △7二玉 ▲5八金上 △8二玉 ▲1六歩
△3五角 ▲3六飛 △6二角 ▲4六飛

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先手の飛車は2六に戻れなくなり歩越し飛車を強要された状態で、既に指しにくい状態。▲3六飛ではおとなしく▲2八飛と引いておくべきだったと。

次に後手は当然△2二飛から2筋の逆襲を狙うわけですが、それを防ぐ▲4六飛。4三を受けるために金か銀が上がってくれれば2二へ飛車が回れなくなるという寸法。さしあたってスグに良くなる手が無ければ、自軍の課題を解決する手か、相手の指したい手を妨害する手ということでしょうね。

本譜は△3二金で、アユムさんの思惑通りになったわけですが、ここで△4二飛はなかったんですかね。次に△5二金左としてから△2二飛の狙いですが…。どうやら▲5五角△5二金左▲7五歩として、次に▲7四歩の狙いで先手が良くなるようです。歩越し飛車も解消できそうです。

△3二金 ▲4五飛 △5六歩 ▲4八銀 △7二銀 ▲4六飛

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いやー、まだ開始から30手も経ってないのに色々魅せてくれます。

第3図の時点で、先手の課題は「歩越し飛車解消」と「右銀の活用」といったところでしょう。第3図からの一連の手順は、後手に5筋の突き込みから△5七歩成を強要し、それを▲同銀と取ることで右銀を世に出そうってことですね。

▲7五歩とすれば歩越し飛車解消の目処は立ちますが、何かの拍子に△7六桂や△7六香のキズが生じて善し悪しですね。そんなわけで銀の活用を優先したということでしょうか。

△5七歩成 ▲同 銀 △5四飛 ▲5六銀

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この時点でアユムさんは非勢を感じていたようです。確かに、ソフトの評価値では500点ほど後手に傾いている。正直、後手は左の金銀がぼやけているように見えますし、攻め駒も飛車と角しか無い状態で、私にはさほど先手が悪いようには思えないんですけどね…

△5四飛の狙いは、△2四歩からの2筋転換。先手もそれを許すまじと銀をせり上げて飛車を圧迫に行きます。

△2四歩 ▲4五銀 △7四飛 ▲5四歩 △2五歩 ▲5六飛
△5二歩

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▲5四歩と飛車の横利きを止めて後手にも歩越し飛車を強要。そして自分はちゃっかり歩越し飛車を解消。

大分差は縮まったんじゃないかと見てたんですが、それほどでもないようです。ただ後手も図の△5二歩よりは、△4二銀の方が良かったんじゃないかと思ってました。

一歩節約できますし、ぼやけていた左銀に多少なりともカツが入ります。

この後は、先手が歩越し飛車を咎めていじめて攻めるのが早いか、後手の2筋からのと金攻めが早いかという将棋になっていきます。

▲7七金 △2六歩 ▲8六金 △2七歩成 ▲7五金 △同 飛

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最終的に飛車切りはやむを得なかったんでしょうが、いったんは△9四飛と逃げて手数を稼ぐほうが良さそうに見えました。アユムさんも同様のことをおっしゃってますね。

本譜でも、将来的に△7六香や△7六桂が生じるので、悪くはないのかもしれませんが。

▲同 歩 △3八と ▲1七桂 △2九と ▲2七飛 △2二銀

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この手が後手の優勢を吹っ飛ばした悪手であるらしい。▲2一飛成とされても後手陣は堅いので強く△1九とと取り込むべきだったと。確かに、後手は香を持てば△7六香の含みもあるのでこちらの方がよいですか。

▲2九飛 △2六歩 ▲6八金 △3八金 ▲6九飛 △2七歩成
▲2五桂 △3七と ▲3四歩

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何気ない手というか、むしろ「今更そこに手を付けるの?」と見た時は思ったのですが、アユムさんの解説によればこれは2五の桂と4五の銀を捌く含みを持たせた意味深長な一手だったらしい。将来的に▲3三桂成から桂か銀が手に入るようにしておく意味があるそうな。実際、最後はこの仕掛けがモノをいってくるのだから将棋は奥深い。

局面的には、飛金交換で先手駒得な上、後手は6二の角が隠居しているので先手が有利な局面だと思います。なので、あとは右翼の桂と銀が捌ければ優勢が拡大できる、ってことなんでしょうか。

△4七と ▲5五角 △6四歩 ▲同 角 △6三銀 ▲5三歩成
△同 歩 ▲同角成 △同 角 ▲同飛成 △5二金 ▲同 龍

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飛車のぶった切り。いや、さすがに私でもこの手は選択肢には入れるだろうと思いますが、アユムさんは一切迷いませんでしたね。「これは受かってないですね」とほぼノータイムで決行。これが終盤力の差か…

△同 銀 ▲6二金 △7二飛 ▲5一角 △3五角 ▲4四歩
△6八角成 ▲同 飛

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▲同銀ではなく▲同飛が地味に大事な選択で、3八の金を質駒にしているわけですね。

あとは、順当に寄せ切ってアユムさんの勝利。

△6一金 ▲7二金 △同 玉 ▲3三歩成 △同 桂 ▲同桂成
△同 銀 ▲6四桂 △6三玉 ▲3三角成
まで89手で先手の勝ち

いやー、序盤から中身の濃い将棋で、目からウロコの連続でした。もう端角中飛車なんて怖くない!…かもしれない。

以下、棋譜です。

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[棋譜並べ]長坂六之助vs天野宗歩 (飛車落ち) 1854/7/13

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

今回ご紹介するのは、1854年7月13日に行われた、長坂六之助vs天野宗歩の飛車落ち戦です。

△3四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲4六歩 △3二金 ▲4八銀
△4二銀 ▲4七銀 △5四歩 ▲5六銀 △4三銀 ▲4八飛
△3三桂 ▲3六歩 △3一角 ▲5八金右 △6四角

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宗歩の飛車落ち棋譜では、この角上がりを許さないよう先に▲6五銀と先受けする棋譜ばかり見てたのですが、今回宗歩は玉の囲いを後回しにしてこの角出を急ぎました。まあ、それでも下手が▲6五銀と先受けしようと思えばできたでしょうけど。

▲3七桂 △5二金 ▲6八玉 △5三金 ▲7八銀 △7四歩
▲4九飛 △8二角 ▲8六歩 △6二銀 ▲8七銀 △6四金

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プロ棋士の天野宗歩評としてよく聞かれるのが、「スピード感が凄い」という評価。江戸時代の棋士は玉をじっくり囲って…という指し方が多い中、隙を見つけたら囲いが未完成なままの仕掛けも躊躇わない、ということらしいです。

この、▲8七銀と上がった瞬間に△6四金と上がる指す筋にも、そんな宗歩の傾向が見えるような気がします。

▲8七銀は銀冠に組もうということでしょうが、この形だと銀冠の完成にはまだ手数がかかる。そこへ、この△6四金。次に△5五歩▲4七銀△5四銀と中央を制圧する手をちらつかせて、▲4五歩を催促しているのだと解釈しました。開戦になれば、先手陣のいびつさが必ず祟るだろうと。

上手も居玉で相当怖いはずですが、下手の銀冠が中途半端すぎるので行ける、という判断でしょうか。

▲4五歩 △5五歩 ▲4四歩 △5四銀 ▲4七銀 △5三銀

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本譜はここで▲4六銀とせり上がっていきましたが、▲3五歩の桂頭攻めもあり得たようです。

▲4六銀 △4四銀 ▲5六歩 △4五歩 ▲5五歩 △4六歩
▲5四歩 △同 金 ▲4四角

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さすがにこの角切りは無謀なような…

△同金となった局面は下手の右桂と飛車はまだ世に出る目処が立たず、銀二枚ではさすがに攻めをつなぐのはむずかかったと思います。

△同 金 ▲5三銀 △4三銀 ▲4四銀成 △同 銀 ▲4五歩
△5三銀 ▲5四歩 △同 銀 ▲5三金 △4三銀

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二度にわたって△4三銀が出てきますが、いずれも駒損を避けながら詰めろもギリギリ受けているという、実に美しい手。

下手はこの後▲7八玉と自陣に手を戻しますが、ここまで強攻しておいて自陣に手を戻さなければならないようでは、やはり指し過ぎだったということなのでしょう。

▲7八玉 △5二歩 ▲6三金 △5四角 ▲6四銀 △6二歩
▲4四歩 △同 銀 ▲4六飛 △5五銀打 ▲4四飛 △同 銀
▲5三銀打 △同 歩 ▲同銀成 △6三角

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勢いで△5三同銀と取ってしまいたくなりますが、(1)△5三同銀▲同金と(2)△6三角▲同成銀△同歩(本譜)では後者が正しいのは明らか。

(1)は角当たりが残っている上に、詰めろですからね…

(2)は玉回りが非常にスッキリする上に、下手の攻め駒が持駒の角一枚になってしまい、明確な切れ筋です。

▲同成銀 △同 歩 ▲5四角 △4二金 ▲6三角成 △5五角
▲7七桂 △同角成

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角成を桂で遮ったわけですが、構わず角切り。まあ、さすがにこれだけ持駒があれば寄りますか…

▲同 玉 △6五桂 ▲6八玉 △7七銀 ▲5九玉 △6二歩
▲6四馬 △3九飛 ▲4九歩 △3八銀 ▲4八金 △5七桂成
まで91手で上手の勝ち

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最後も非常に美しい投了図。

囲いが未完成な瞬間に、攻めを催促して開戦させる指し回しや、駒損と詰めろを同時に防ぐギリギリの凌ぎには唸らされました。

下手はやはり第4図の角切りが無謀だったんだと思います。

以下、棋譜です。

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[棋譜並べ]YouTube実況 アユム五段vsX四段

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

今回は、YouTubeで将棋ウォーズの対局動画を公開している「元奨励会員アユムの将棋実況」のアユムさんの対局動画からピックアップしてご紹介します。

※掲載にあたって、アユムさんの許諾をいただいてます

なぜ天野宗歩でもプロでもなくアマチュアのYouTuberなのか?と思われた方は、こちらをお読みください。

今回ご紹介するのはこちらの動画から。

45歩早仕掛けvs向かい飛車(四間飛車と合流) 将棋ウォーズ実況 10分切れ負け

では、早速。

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲2五歩 △3三角
▲4八銀 △2二飛 ▲6八玉 △4二銀 ▲7八玉 △6二玉
▲6八銀 △7二銀 ▲5六歩 △7一玉 ▲5七銀左 △9四歩
▲9六歩 △8二玉 ▲5八金右 △5四歩 ▲3六歩 △4三銀
▲3七銀 △1四歩 ▲1六歩 △1三香 ▲6八金上 △5二金左
▲2六銀

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アユムさん曰く「四間飛車と向かい飛車には棒銀が有力」であると。向かい飛車はよく知りませんが、少なくとも四間飛車に棒銀で挑む人など、加藤九段の引退でプロの世界ではもう絶滅したという認識でいましたが、アマチュアのレベルではまだまだ通用するってことですかね。

ただ、本局のアユムさんの指し回しを見ていると、私は対四間飛車の棒銀というか急戦策に誤った認識を持っていたのかも…と思わされました。

△3二飛 ▲4六歩 △6四歩 ▲3七銀 △7四歩 ▲4五歩
△6三金 ▲4八銀右

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驚愕の手順でした。一度前に出した棒銀を元の位置に引っ込めるとか、私の棒銀の辞書にはあり得ない指し回し。棒銀に「後退」の二文字はない、というのが私の認識だったので、私なら多少無理しても▲3八飛とか▲3五歩とかで仕掛けに行ったでしょう。

しかし、アユムさんは△3二飛を見て、棒銀を引っ込めて▲4五歩早仕掛けの方針にチェンジ。

「棒銀は引いてもいいんだ…」

まあ、角換わり棒銀で中央方面へ組み替えるという指し方は私もたまにしますが…対振り棒銀においては、大きなカルチャーショックでした。

△4二飛 ▲3七桂 △6五歩

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これは怖い手ですね。玉の小ビンがスッカスカに空く上に、角交換後に▲3一角という馬作りの筋もちらつく。私なら怖くて指せませんが、果たしてどんな意図だったのか。将来的に先手玉の小ビンを攻める構想だったのかな?。

▲4六銀 △4五歩 ▲3三角成 △同 桂 ▲5七銀引

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ここも「急戦は勢い!」と思い込んでいた私なら、銀を引かずに▲4五同銀や▲4五同桂と突っ込んでいたことでしょう。急戦でもこんな指し方があるのか…

△4四角 ▲7七角 △同角成 ▲同 金 △7三桂

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△8五桂▲8六金△4四角みたいな筋が気になりますが、アユムさんによれば、最悪でも右へ逃げていけば良いので角成はそれほど気にする必要はない、と。実際、そうなった局面は、ソフトも先手やや有利との判断をしています。

うーむ、このあたりの大局観が私などとはやはり違いますね。そのあたりも見越して、棒銀を無理に突っ込まなかったという意味もあるのでしょうか。銀が控えている分、右辺の安全度は増してますからね。

▲3一角 △5二飛 ▲1三角成 △4四角 ▲8六歩 △8四歩
▲8八香 △5五歩 ▲同 歩 △同 角 ▲5六歩 △4四角
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △5四銀 ▲3四飛 △7七角成
▲同 玉 △3二歩 ▲6八玉 △5五歩 ▲同 歩 △同 銀
▲5六歩 △同 銀 ▲同 銀 △同 飛 ▲5七歩 △5一飛

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アユムさんの判断によれば、既に先手がかなり良いと。

ふーむ、私なら先手を持ちたいかと言われると躊躇しますが…。

なので、冷静に局面を判断してみると…

駒の損得:角香と金銀の交換で互角に近いが、馬ができている分やや先手有利か
玉の堅さ:高美濃囲いが健在な後手
駒効率:どちらも目立った遊び駒はなく互角。1三馬が少し気になるが、自陣に効いているし▲3五馬と一手引くらいで攻めにも効くので問題は無さそう。
手番:先手

…というわけで、私の目には良くて互角、実際には居飛車やや指しにくい局面と写るんですけど、ソフトで確認してみると確かに先手が+1000くらいリードしている。うーむ…

先手としては握った手番で後手の美濃囲いを崩しに行くという方針になるのでしょうが、その手番が大きいということなんでしょうか…

[20180613 追記]

うわ、恥ずかしい。駒の損得、角香と金銀じゃなくて、角香と金で明らかに先手寄りじゃん。

これは確かに先手の方がよいのか…

[20180613 追記ここまで]

▲7五歩

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というわけで、指されてみれば当然の▲7五歩なんですが、自分だと実戦では意外と気づかない気がする。

△6六歩 ▲7四歩 △6七歩成 ▲同 金 △6六歩 ▲同 金
△6五歩 ▲7三歩成 △同 金 ▲6五金 △7六銀 ▲6六金
△6五金 ▲同 金 △同 銀 ▲6七歩 △5六歩 ▲同 歩
△6六歩 ▲同 歩 △5六銀 ▲7七玉

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当然ながら冷静な早逃げ。その前の△5六歩からの仕掛けは、1三の馬が自陣に効いてくるのでどうか、とアユムさんはおっしゃってましたが、なるほどですねぇ…

△5七歩 ▲7四歩 △同 金 ▲同 飛 △7三歩 ▲8四飛
△8三歩 ▲6四飛

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歩を全て使わせて6筋に飛車をセット。端から攻めたときに玉の逃げ道を塞いでも居ますね。でも歩がないので遮るのも難しい。いやぁ、巧みです。

△5八歩成 ▲9五歩 △4八と ▲9四歩 △7五銀 ▲9三歩成
まで119手で先手の勝ち

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最後は手勝ちを読み切っての見事な即詰みでした。

うーん、対振り急戦で銀を引っ込めるという指し方が私には衝撃的でした。対振り急戦の鉄則として、安易に飛車を捌かせてはいけないというのがありますが、そういう意味では無理に突進するよりも守りを固めて飛車の捌きを抑えるべき、ということなのかもしれない。

しばらく対振り急戦はやってませんでしたが、またやってみようかなと思わせてくれる将棋でした。

以下、棋譜です。

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[棋譜並べ]市川太郎松vs天野宗歩 (右香落ち) 1856/7/20

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

今回ご紹介するのは、1856年7月20日に行われた、市川太郎松vs天野宗歩の右香落ち戦です。

普通「香落ち」と言えば角側の香を落とす左香落ちですよね。奨励会などでは香落ちがよく指されるようですが、それももちろん左香落ちです。ただ、現存している宗歩の香落ちの棋譜は全て右香落ちのようです。昔は香落ちと言えば右香落ちだったってことでしょうかね。

△5四歩 ▲7六歩 △6二銀 ▲9六歩 △7四歩 ▲9五歩
△9二飛

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宗歩の右香落ち棋譜を並べるのは実は本局で2局目。1局目は紹介するタイミングを逸してしまいましたが、そちらでも同様に下手が9筋を突き越して、上手が飛車で9筋を受けるという形になってました。右香落ちの定跡形なんですかね。

▲5六歩 △5三銀 ▲6六歩 △3四歩 ▲7八銀 △4二金
▲6七銀 △4一玉 ▲4八銀 △5五歩

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宗歩は隙あらば歩交換を仕掛けるという印象を個人的に持っているのですが、ここでも角筋を使った歩交換。下手が▲4八銀としたため飛車が5筋に回れなくなったタイミングを突いているということでしょうか。

▲同 歩 △同 角 ▲5七銀 △3三角 ▲5八飛 △5四銀

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銀が単機でせり出していく形。個人的には銀が浮いている状態なので漠然とした違和感がある手です。▲4六銀には△5五歩と抑えて何でもないよ、ってことなんでしょうが。

下手は銀二枚でやや分厚く構えようとしているので、先に中央を抑えてしまおうってことかな?

▲4八玉 △1四歩 ▲3八玉 △1五歩 ▲4六銀 △5二飛
▲9七角

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直前の▲9七角は…いざというとき上手の飛車先を抑えてしまおうってことでしょうか。どちらにせよ、9一に香がいる平手では成立しにくそうに見える手です。

そこで△6五銀みたいな手は(▲同歩なら△9九角成狙い)…さすがにないか。▲5二飛成から飛車交換になると上手陣は飛車に対してスカスカですからね。

で、直後のこの△4四歩。中央を制している駒の一つである角の利きを何故わざわざ止めるのでしょう? 銀の退路を作ったということなのでしょうが…実際、この後下手は中央の制圧に成功します。

仮に放っておいて△3二玉とかの時に、角筋が通っていれば▲5六銀とはできないので(△6六角がある)、中央に色気を出すなら▲5五歩なのでしょうが…ソフトによると、素直に△5五同銀▲同銀△同飛▲同角となった局面(変化図1)は上手有利という判断。

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飛車交換は陣形スカスカな上手不利…と思いますが、中央に角が陣取るこの形では意外と飛車打ちの隙が無い。隙があるとすれば▲9二飛ですが、△9一銀で飛車が即死。角筋のにらみも生かして▲4二飛成からの強襲はありそうですが、ソフトの判断ではやや無理気味、らしい。

例えば、▲9二飛△9一銀▲4二飛成△同銀▲5三銀に、△5一銀とかわす(変化図2)。

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これが冷静なかわしで、▲4二金と露骨に打ち込んできてもギリギリ耐えているもよう。

とはいえ、下手陣にもすぐに攻めかかれるような隙が無く、少し上手有利な程度の、互角に近い将棋になっているらしい。

とまあ、△4四歩を突かないと、辛うじて踏みとどまっているとはいえかなり危ない目にあうっぽい。それを嫌っての△4四歩だったんでしょうか。

△4四歩 ▲5五歩 △4三銀 ▲5六銀 △3二玉 ▲6五歩
△2四角 ▲4八金 △3三桂 ▲6八飛 △4五歩 ▲5七銀
△5四歩 ▲同 歩 △同 銀 ▲6四歩 △同 歩 ▲同 角
△6二飛 ▲5五歩 △4三銀 ▲6三歩

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手筋のタタキ。うっかり△同飛と取ってしまうと、▲4二角成から飛車を素抜かれてしまいます。よくある手筋ですが、普段の対局でこういうのは見逃さないようにしたいところ。

△9二飛 ▲7五歩 △同 歩 ▲6六飛 △7二金 ▲6二歩成
△同 金 ▲9一角成

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これも手筋なんですが(△同飛なら▲6二飛成)、歩が4枚あるので本譜のように受かります。そこを読み間違えたんですかね…。

△6五歩 ▲同 飛 △7三桂 ▲6八飛 △6七歩 ▲同 飛
△6六歩 ▲同 飛 △6五歩 ▲8六飛

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馬を諦めて飛成にかけた飛車回りですが、素直に▲9二馬△6六歩と飛車交換するほうがマシだったのではないでしょうか。本譜は馬を犠牲にしても飛車を捌かせまい、ということだと思いますが、さすがにその代償が馬では厳しそうな…

△9一飛 ▲8三飛成 △7二角 ▲7四龍 △8一飛 ▲7八金
△6三金 ▲7五龍 △8三角

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個人的に、この一局のこの一手を選べと言われたら私はこれを選ぶかもしれないです。

△7二角と打ち込んだときはただの守備の角。しかし、この1手でたちまちカツが入った感じ。下手玉を間接的に遠くから睨んでいるのがポイントで、これが後々効いてくるのです。

▲7七桂 △3五角 ▲7六龍 △7四金 ▲9四歩 △同 歩
▲同 香 △7五歩 ▲9六龍 △8四金

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個人的には疑問の一手。どうせ歩切れで9筋は受からないわけですから、同じ角筋を通すなら中央方面へ利かせる△6四金の方が勝るような。

▲9二香成 △7四角 ▲9七龍 △6一飛 ▲8二成香 △6六歩
▲7二成香 △7六歩 ▲6一成香 △7七歩成 ▲同 金 △6五桂打

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ずいぶんアッサリと飛車に見切りを付けたな大丈夫か、と思ったら、桂を入手してのこの継ぎ桂が異様に早かった。

▲6六銀 △7七桂成 ▲8六龍 △5六角 ▲7七龍 △4六歩
まで107手で上手の勝ち

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いやしかし、8図の△8三角からまさかこうなるとはビックリです。改めてこうしてブログ記事にまとめてみると、この将棋は非常に面白かったです。

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