不惑オヤジ(と娘)の将棋な日々

アラフォー親父と小学生娘の悪戦苦闘の記録

[棋譜並べ(ダイジェスト)]羽生善治vs森内俊之 1988/11/4

※この棋譜並べシリーズは棋力初段レベルのブログ主が、自身の学習のアウトプットとして書いているものです。解説とかではない旨をご承知の上で、お読みください。

今回題材として取り上げたのは、1988年11月4日の、第19期新人王戦三番勝負第2局、羽生善治五段vs森内俊之四段の対局です。

下記書籍の、最初に掲載されているものです。

羽生VS森内百番指し
羽生 善治 森内 俊之
4839937613

プロの棋譜を題材にするわけですけど、いつものように棋譜を全て載せると色々とアレがアレでアレなので、棋譜は掲載せず、要所の局面を紹介する程度に留めます。

2018-08-15a.png

戦型は、今やプロでは絶滅危惧種となってしまった相矢倉。その中でも森下システムと呼ばれる形ですね。上の局面は、後手が6筋に飛車を展開し、6四の地点で角交換を行ったところ。

ここで、本譜はじっと▲9六歩。

ぱっと見、△6五歩と打たれるのが怖いので、▲6五歩から考えたくなりますが、それは△6五同桂とされるとあまり防御となっていない。歩を損しただけであまり有効性が見えない。なのでプロはこんな手はハナっから考えないらしい。解説には▲6五歩はかけらほども触れられてませんでした。

▲9六歩の意味は解説されてましたが、あまりに意味深長でとても私には真似できない。

▲9六歩は△9四歩と受けた場合▲7二角が狙いで、△6五歩▲5七銀△7五歩▲8三角成と進んだときに(変化図1)、△9四角と合わせる手が消えているため、先手優勢だと。

2018-08-15b.png

なので△9四歩とは受けづらいが、これが突けないなら後手に先に攻めさせても、後々この端の一手が必ず活きてくるだろうと。

うーん、深すぎる。まあ先手陣は右桂も跳ね出せている状態で、駒さえ入れば反撃ができそうな形が既にできているので、こういう考え方ができるということなんですかね。

2018-08-15c.png

この▲4五歩は「味の良い」と思っていたらしい。実際は直前の▲6八飛が逸機の悪手だが、▲4五歩で指せると見ていたと。

この手について詳しく解説はされてませんが、次に▲4四歩の取り込みが厳しい? ▲4四歩を△同金なら▲5三銀が決まってしまうので△4二金引でしょうが、▲4三銀とロコツに金を剥がして行ければ確かに先手が良さそう。とはいえ、これを取っても▲4四歩と叩かれて同じなので、後手はこれを放置して△2五銀~△6九銀の反撃。

2018-08-15d.png

ノータイムで打ったこの角が悪手で、正しくは▲3三歩だったと。△3三同玉なら▲5一角、△3三同金から▲7五角、△3三同桂でも▲7五角で決まっていたというが、同玉、同金はまだしも△同桂で▲7五角で決まっているという理屈が正直よくわかりません。

2018-08-15e.png

初見時では全く意味のわからなかった玉上がり。数回並べてみてやっと気づいたわけですが、なるほど、入玉を視野に入れた手だったわけですね。後手の玉頭方面は後手の飛車と馬が居座っていて手厚い。先手玉も入玉ルートはありそうですが、相入玉になれば大駒四枚を手中にする後手の勝ちがほぼ確定する。

なので先手はなんとしても入玉を阻止しないといけないわけですが、その指し回しがまた圧巻でした。

2018-08-15f.png

これこそ初見時には全く意味不明だった歩打ちですが、実は後手玉の入玉を阻止する足がかりでした。16手後には…

2018-08-15g.png

たった一枚の歩を足がかりに後手玉上部に分厚い壁を作り上げ、入玉を阻止。途中、後手に疑問手(=敗着)が出た面もありますが、見習いたい指し回し。

この後は、先手の羽生五段が着実に寄せ切って、153手で勝利しました。

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[棋譜並べ(ダイジェスト)]羽生善治vs森内俊之 1988/11/4」への2件のフィードバック

  1. おさけ 2018年8月16日 16:15

    一つ目の局面図(52手目6四同飛の所)で6五歩というのは、強くなればなるほど、思い浮かばなくなると思います。強くなると、後手から6五歩と打たれることの方が怖くなくなってくるからです。理屈で言っても、先手から打つと「後手の桂を捌かせながら自分は歩切れになって相手に歩を与えた上に、6八に銀を逃げないといけないので後手を引く」ということになります。

    一つの傾向として、「自分の飛車先に自分で歩を打つ」頻度は強くなればなるほど「減る」ように感じます。先日コメントした大局観とパターン化の話と同じですね。飛車先の歩って凄く重いんですよね。だから後手から歩を打って飛車先を重くしてくれるならそんなに恐ろしくないというか、そもそも先手から打って6五同桂の方が危ない感じがするのです。6筋は厚いので6五に拠点を作られて6六に何か打たれる展開になったとしても、むしろ先手としては駒が手に入る展開になるため、薄い後手玉に一気に迫れる展開が期待出来、そんなに悪くないよな、と思ってしまうわけです。例えば本譜9六歩の手渡しに対し、6五歩、5七銀、7五歩、同歩、同銀、7六歩、6六銀、同銀右、同歩、同銀と進んだ場合は先手有利だと思います。

    もちろん6五同桂に6八銀と引いておくことで後手の攻め筋を全て消しているという読みが裏付けとしてあるならば、図の局面で先手から打つのは有りだと思います。ただしこの局面は、先手の右桂がすでに飛んでいて後手の2四銀型と相まって安定していること、そのせいで後手の囲いが弱体化していること、3八飛が安定していること、7三銀に対して6六銀が安定して7五地点を支えていること、の3つが組み合わさっているために先手からの6五歩も有り得るという特殊な状況です。

    たとえば、図でもし2八飛型だったら、6五歩、同桂、6八銀、7五歩、同歩、同銀、同銀、3九角、という筋があります。7五同銀が6四の飛車に当たっているので成立しないかもしれませんが、筋として残るため、後手はすぐに7五歩とせずに一旦飛車を引くとかして次に狙うという手段も残されています。特殊な状況ゆえに先手から6五歩と打てる余地があるというだけで、通常は悪手になりやすいと思われます。

    自分の飛車の周囲に歩を打つ場合、通常は飛車先に打つよりも、飛車の一つ左か右の筋にどこか歩を打てる場所はないかと探す方が良い手の発見に繋がることが多いと思います。特に対向形の時は飛車先に歩を打つのは後回しにしてなるべく考えないように意識し、他の手で良くなりそうならそちらを採用した方が結果的に良いことが多い気がします。

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    • yamakaz 2018年8月18日 07:53

      実際、何度か並べているうちに▲6五歩は無いなと考えるようになりました。
      理由はまさにおっしゃるとおりですね。手順に桂を捌かせて歩切れになった上に後手を引く。

      > 飛車先の歩って凄く重いんですよね。だから後手から歩を打って飛車先を重くしてくれるならそんなに恐ろしくないというか、そもそも先手から打って6五同桂の方が危ない感じがするのです。6筋は厚いので6五に拠点を作られて6六に何か打たれる展開になったとしても、むしろ先手としては駒が手に入る展開になるため、薄い後手玉に一気に迫れる展開が期待出来、そんなに悪くないよな、と思ってしまうわけです。

      ふむ。そういう考え方をするわけですね。なるほど。

      > 例えば本譜9六歩の手渡しに対し、6五歩、5七銀、7五歩、同歩、同銀、7六歩、6六銀、同銀右、同歩、同銀と進んだ場合は先手有利だと思います。

      実は本譜はほぼこの通りに進んでいます。67手目の図のところで▲6八飛を逸機の悪手と書いてますが、ここで正着を指していれば先手が勝勢に近い展開になっていたらしいです。

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