不惑オヤジ(と娘)の将棋な日々

アラフォー親父と小学生娘の悪戦苦闘の記録

将棋勉強法総括-低級脱出編 [考察]

「将棋が強い」人というのはどういう人でしょうか。どういう人が「将棋が強い」ということになるのでしょうか。

いきなり漠然とした命題を持ち出しましたが、言い換えるなら「『棋力』の正体は何か」という疑問です。

何を持っている人が「将棋が強い」人なのか、その「何を」の部分を明確にしたい。それがわかれば、将棋の勉強をするにあたって目指すところがある程度明確になるはずです。

長々と連載してきた「将棋勉強法総括-低級脱出編」の締めくくりとして、この「棋力の正体」というやつを私なりに考察してみたいと思います。

まず、「棋力の正体」につながる手がかりとして、プロ棋士やアマ強豪の言葉をいくつか引用してみます。

「手筋をたくさん知っていると、ヒラメキが増えます」(豊川孝弘七段 NHK将棋フォーカスにて)

「基本的に、見えていない手を読むことはできないのです。(中略)将棋が強くなるということは、実は、手が見えるようになるとことなのです」(森けい二九段 「寄せが見える本(応用編)」前書きより)

「『考えればわかる』では競り合いに勝てません」(金子タカシ氏 「寄せの手筋200」の帯より)

で、いきなりですが先に私の結論を言ってしまいましょう。

私が考える「棋力の正体」とは、ズバリ、以下の2つです。

  • 自分の中に持っている「パターン」の数
  • 読みの力

自分の中に持っているパターンの数が多ければ多いほど、そして先の局面を読む力が深ければ深いほど&早ければ早いほど、その人は「将棋が強い人」なのです。

それも、前者(パターンの数)のウェートがかなり大きいと思ってます。そして、先に示したお三方の言葉も、このことを証明しています。

パターンの数、と言われても「何のこっちゃ」と思われるかもしれません。例を示しましょう。まず、以下の詰将棋を解いてみてください。

2016-04-22a.png

はい、そうです。▲5二金までの1手詰です。いわゆる典型的な「頭金」の図。簡単ですよね。多分、うちの長女レベルでもひと目で正解するでしょう。

ただ、ここで「バカにするな!」と激昂する前に、ちょっと考えていただきたいのです。

あなたはなぜ、ひと目で▲5二金で詰みだとわかったのでしょうか。おそらく、答えを出すのに考えたりはしませんでしたよね?見ただけで正解できたはずです。

しかしですよ、私も娘達や大人の入門者に教えていてわかったことですが、本当の入門レベルの人にはこの▲5二金がわからんのですよ。大人でも入門者は▲6二金だとか▲4一金だとかいう答を返して来るのです。▲5二金と答えられる人も、金銀の利きと玉の逃げ場を逐一確認しながら、考えに考えて答えにたどり着くのです。

これが「パターン」です。

先の詰将棋がひと目でわかった方は、「頭金」という典型的な詰みのパターンを知っているから、考えなくても見ただけで答えが出せるのです。逆にその形を覚えていない入門者は逐一駒の利きを確認して考えないと、答えが導けないのです。「頭金」というパターンを覚えているかどうかで、将棋の力に明確な差がつくという典型例です。

では、詰将棋をもう一問。以下はどうでしょうか。

2016-04-23b.png

さっきよりは格段に難易度上がってますが、これも多少心得のある人なら難しい問題ではないはずです。答は▲5一龍△同玉▲5二金までの3手詰です。

いきなり最強の攻め駒である龍をタダ捨てするのが詰みへの第一歩になりますが、こんな荒業に踏み込めるのは、龍を△同玉と取らせた結果が頭金の形になることが見えているからです。つまり、ここでも「頭金」というパターンの知識が、正解を導く力として貢献している。

逆に「頭金」のパターンを知らない入門者は、最強の駒である龍を捨てる手にそう簡単に気づくことはできないでしょう。

詰将棋を例に説明しましたが、最終盤のみならず、序盤や中盤でも基本的に同じです。手筋という名のパターンをたくさん知っているほど、正しい手を導き出すのに時間を必要としません。

ここでもう一度、先ほどのプロ棋士およびアマ強豪の言葉を振り返ってみます。

「手筋をたくさん知っていると、ヒラメキが増えます」(豊川孝弘七段 NHK将棋フォーカスにて)

これはまさにパターンの力を直接的に説明する言葉です。

目の前にある局面が、知っている場面そのものでなかったとしても、脳は無意識に記憶の中から類似の局面を探し出し、何らかの結論を提示してきます。これが「ヒラメキ」とか「直感」と呼ばれる働きです。

そして、そういったパターンをたくさん蓄積するほど、このヒラメキの精度・スピードは上がっていくのです。

「基本的に、見えていない手を読むことはできないのです。(中略)将棋が強くなるということは、実は、手が見えるようになるとことなのです」(森けい二九段 「寄せが見える本(応用編)」前書きより)

これは先ほどの入門者と頭金の話を説明しています。

パターンに無い局面は、いくら考えてもヒラメキが来ないのです。そういう局面では、入門者がやるような頭金の詰みを駒の利きひとつひとつ確認しながら考えるような思考が必要になるので、結論が出るまで時間もかかりますし、その答の精度も怪しい。

手筋問題などに取り組んでいて、「こんなの知らなきゃわからねーよ!」と思ったことがよくあると思います。言い換えれば、知ってるか知ってないかだけであり、「考えたってわかるわけがない」という問題。私もそういう問題に出くわしたことは多々あります。

それは、パターンを持ってないからヒラメキが無い、つまり「見えない」。そういうことです。

「『考えればわかる』では競り合いに勝てません」(金子タカシ氏 「寄せの手筋200」の帯より)

例えば秒読み将棋になった時に、持っているパターンからすぐに手がひらめく人と、様々な手を読みながら&検証しながら時間をかけなければ手が見えない人、どちらが有利かは言うまでもないと思います。

以上から、「この局面での最善手はこれ」というパターンをたくさん持っていると強い、という結論に至るのです。

「棋力の正体」のもう一つ、読む力についても触れておきます。

これは単純に、何手か先の局面を深く&早く読む力です。パターンを持っているだけではやはり限界があり、どうしても読む力がある程度は必要です。これがないと、自分が知っている有利な局面に誘導することもできませんし、ヒラメキが提示してきた手を検証することもできません。

ところが、この読む力にもやはりパターンの力が関係してくるのです。読む力よりもパターンの数の方がウェートが高い前述したのはそういうことです。

誰だか忘れましたが、あるプロ棋士が「プロの強さは、ある意味『読む力』ではなく『読まない力』にある」という意味のことを言っていました。

ある局面で例えば先手の手番だったとして、指せる手がいったい何通りあるか。

ほとんどどんな局面でも、おそらく何十通り、何百通りとあるはずです。しかし、プロにしても我々アマチュアにしてもその何百通りの手を全て読んでいるわけではない。無意識に、数手の候補に絞り込んでその中で読みを入れているはずです。つまり、明らかに悪手であったり、無駄とわかるような手は最初から読みの中に入れないのです。そうそうることで、無駄な読みに時間をかけなくて済む。これが『読まない力』です。

私の言いたいことはもうお分かりでしょう。このような、悪手や無駄手を読みから除外し有力手に絞り込むのも、パターンの力なのです。「この場面ではこの手しかない」「この場面でこんな手はありえない」といったパターンの存在がこのような読み筋からの排除を可能にするのです。

これまでの考察から、自分の中に将棋のパターンを多く持っていれば持っているほど強い。それが私の考える「棋力の正体」です。

さて、「棋力の正体」がパターンの数だとするなら、棋力を上げるためには何をすればいいのかは明白ですよね。

そう、ひたすらパターンを増やす訓練をすればいい

詰将棋であれ、手筋問題であれ、定跡であれ、全てはそこに行きつきます。感覚的にでも理詰めでも構わないから、とにかく自分の中にパターンと呼べるものをたくさん溜め込む。将棋の勉強の目指すところはほぼこれに尽きるのではないかと思います。

だから問題集系の勉強であれば、繰り返し解いて頭に覚えこませることが必要なのです。低級者同士の感想戦は無意味だと言ったのは、間違ったパターンが身についてしまう可能性の方が高いから。棋譜並べの恩恵を私があまり認められなかったのは、時間がかかる割に身につくパターンが少なく感じられたからです。

そしてもう一つ、「棋力の正体」がパターンの数だとするなら、もう一つ言及しておきたいことがあります。

それは「才能なんて必要じゃないよね」ってことです。少なくとも、アマチュアレベルでは。

そりゃ、向き不向きはありますし、要領の良しあしもありますから、成長するスピードに関しては個人差はどうしてもあるでしょう。しかし、パターンを増やしていけば強くなれるのならば、たとえゆっくりでも自分の中のパターンを増やしていけば、時間はかかるかもしれないけど、いずれは強くなれるはず。

確か羽生名人の言葉だったと思いますが、「誰でも奨励会二段まではなれる」というのはそういう意味なんだと勝手に理解してます。奨励会二段レベルであれば、努力さえ続けば、時間はかかったとしてもいずれ到達できるんだ、と。

以上、「棋力の正体」に関する私なりの考察でした。

本稿をもって、「将棋勉強法総括-低級脱出編」シリーズを終了とさせていただきます。

またいずれ、きりのいいタイミングで同じように振り返り、アプローチや考え方がどのように変わったか確認してみるつもりです。

お付き合い、ありがとうございました。

 

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